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MTPro [2013年1月24日(VOL.46 NO.4) p.03]

〔ロンドン〕ブリストル大学(ブリストル)臨床科学部整形外科のAshley W. Blom教授らの研究グループは「従来の人工股関節全置換術(THR)の代替療法として若年患者に推奨されることの多い表面置換型人工股関節置換術(以下,表面置換術)は,術後早期に再手術が必要となることが多く,特に女性には施行すべきではない」とする観察研究の結果をLancet(2012; 380: 1759-1766)に発表した。

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表面置換型人工股関節置換術は、標準型人工股関節に比べて、
●大腿骨の骨自体が従来型に比べて温存される
●今までの報告では手術後の脱臼がない
●大腿骨コンポーネントの再置換が従来型より容易である
などの利点があります。
欠点としては、
●10年以上の臨床成績が発表されていない
●脚長補正が難しい
●骨盤や大腿骨に強い変形がある場合は不適
●大腿骨頚部骨折の発生率0?4%
●体内金属イオンの増加
などがあげられるそうです。

骨切り手術によっても股関節痛が軽快しにくい病期が進行した若い方や手術後も活動的な生活を希望される方々に対しては、適応があるのではということなのですが、術後早い時期に再手術が必要となることがあるというのは、社会活動を行っている(仕事をしている)年代にとってはネックになる問題だと思われますね。

右人工股関節置換術を受けて6年と6ヶ月弱
左股関節固定術を受けてからだと22年がたとうとしています・・・ピチピチ二十代だった私がいまや47歳!月日の流れを感じます(笑)

股関節固定術後の患者は、腰痛と切っても切れない関係です
が、もともと腰が悪く、22歳で腰椎ヘルニアの手術を受けている私の場合は、固定後20年余りを経過して、やや事情が違ってきています

いわゆる腰痛は通り越して、その上下の関節、胸椎に近い部分と仙椎のあたりに痛みや痺れを感じます・・・なんともいえない違和感と痺れと時に襲ってくる痛みは、早く固定を解除して人工関節にしてくれ?という腰の悲鳴のようにも感じます

まぁ、実際は私自身が悲鳴を上げているわけですけれど^^

立位、座位、臥位、どれをとっても安楽な姿勢を保てる姿勢はなく、年齢を重ねてきたこととあいまって、なんだかそろそろ限界なのかしら?と思わせられます

思えば生まれてこのかた、いつも思い煩わさせられるのは整形外科的な病気のことばかり
それにまつわるQOL低下は、私から人生の楽しみを奪ってる(ちょっと大げさか)

ひとつの不安は別の不安を生み、その不安がまた別の不安を・・・いかん、いかん、悪循環な思考にとらわれる前にひとまずここは終了します

入れ替え必須の若年人工関節患者には、うれしいニュースですね!


日刊工業新聞 平成25年1月10日 より

大阪大学大学院工学研究科の中野貴由教授と同大学院医学系研究科の吉川秀樹教授は、ナカシマメディカル(岡山市東区、中島義雄社長、086・279・6278)と共同で、低弾性と高衝撃吸収性を兼ね備えた人工股関節を開発した。電子ビーム積層造形法(用語参照)を用い、実際の生体骨に近い機能を実現した。従来の人工関節で課題となっている骨と金属の弾性率差に起因する骨の劣化を防ぐ。高齢化社会の到来で患者数が増える変形性関節症や骨粗しょう症などの治療に役立つと期待される。
 中野教授らは不要な金属粉末を取り除き、造形体骨格だけを使う積層造形法の発想を転換した。本来除去すべき金属粉末を造形体の中に閉じ込め、熱処理を施した。これにより粉末間のネック形成で、衝撃吸収性が備わる。同時に生体骨が持つ一軸異方性を発揮できる設計で骨類似化を図ったところ、弾性率の上昇を抑制できたという。

2013年【年女】です

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人工股関節置換術を受けて6年と5ヶ月余りが経過しました。
苦しかった思いではほぼ忘れ、普通に生活できていることが当たり前になってきています。
手術当初、セメントレスでのインプラント挿入では、寿命は8年くらいかもと言われていました。痛みがなくなったことに慢心し、筋トレをサボり、体重管理を怠り、草抜きや床掃除に犬の世話、主治医いわく「しなくていいこと」ばかりやっては怒られ・・・
そういう生活であったのに、なんとか緩みや脱臼を逃れてきたことはほんとに感謝するばかりです。

昨年は人生の中では割と大きな出来事の続いた年となりました。
年始に長男が結婚すると言い出し、春に結婚式、その一ヵ月後に父が急に倒れて数日後には見送り、遺品の整理、初孫が産まれたと思ったらそのままNICUに入院。自分のことをゆっくり振り返るような余裕もないまま日々が過ぎていった感があります。

少し前までの人生の目標は、二人の子どもたちが成人するまでは元気でいること、でした。今ではまだまだ頼りない長男や、大学生の次男のことが不安で、もう少し長く元気でいたい!仕事もしていたい!楽しみたい!

後悔するような人生を送りたくないからこそ受けた手術(人工関節)です。
その恩恵を十分に生かしきれるような、前向きな一年の始まりとしたいものです。

プールでの歩行が冷えて足がつるので中断中の今興味のあることは、加圧トレーニング。
これって、股関節の悪い人にはどうなんでしょう?ちょっと試してみたいのですが、ちょっぴり不安でもあります。

まずは一歩
そして又一歩

よしっ!今年も頑張るぞー☆
本年もよろしくお願いいたします♪

生涯型人工股関節が医療現場へ

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東京大学のページより
従来型の人工関節が磨耗し入れ替えなければならないことの原理や、生涯型人工関節について、学ぶことが出来ます。

人体に人工物が入ることのデメリットですね
現段階ではやむを得ず受け入れるより他はありません
例えばですが、iPS細胞の研究が進むと自骨と代謝できるようなインプラントが作られるようになるのでしょうか・・・


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2011/08/03
従来型人工股関節の限界
骨折や変形性関節症などで機能を失ってしまった関節の治療には人工関節への入れ換えが有効です。手術件数は、国内で年間17万件、世界では430万件を超え、年々増加しています。中でも人工股関節は実用化から約50年にわたり、多くの人を痛みや歩行障害から救ってきました。


人工股関節の構造
しかし、人工股関節には深刻な問題があります。使用しているうちに人工股関節のまわりの骨が消失してしまうことがあるのです。そのような場合、新しいものに入れ換える再置換術が必要です。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

人工股関節の関節面は、大腿骨側に固定される球状の骨頭と、骨盤側に固定されるポリエチレンライナーの組み合わせでできています。

しばらく使用すると、ライナーと骨頭の接触面からポリエチレンの摩耗粉が生じます。すると、生体の免疫システムを担うマクロファージという細胞が、この摩耗粉を異物と認識して取りこみます。その際に、破骨細胞という細胞を活性化して周囲の骨を消失させてしまうことがあるのです。

硬いポリエチレンの開発や代替材料など、ライナーの基材に関する研究が世界中で行われましたが、決定的な解決には至っていませんでした。

医工連携のきっかけは新聞記事
骨が消失した部分に再び人工股関節を入れる再置換術は、非常に難度が高い手術です。また、回を追うごとに術後のリハビリや入院は長期化し、経済的負担は言うまでもなく、患者の肉体的・精神的負担も増大するばかりです。このため、少しでも長持ちする人工股関節の開発が求められていました。


細胞膜を模倣した新しいバイオマテリアル「MPCポリマー」
1999年、医学系研究科の茂呂徹特任准教授は、1人の患者から新聞記事を見せられました。同じ東京大学の工学系研究科石原一彦教授による「2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマー」という材料の研究成果に関する記事です。見出しには「人工関節にも応用」とありました。

とにかく話を聞きに行こうと、医学系研究科の高取吉雄特任教授と茂呂特任准教授、医学部附属病院整形外科脊椎外科の川口浩准教授は、すぐに石原教授を訪ねました。

細胞膜に近い「MPCポリマー」
石原教授は、生体内で異物と認識されない生体親和性の高い材料、バイオマテリアルの研究者です。体に埋め込む医用材料の場合、血液凝固や炎症反応などの生体反応を生じるものは使うことができません。石原教授が注目したのは細胞膜でした。

細胞膜は脂質の二重膜でできていて、その表面には親水性の基であるホスホリルコリン(PC)基が集まっています。

石原教授が大量合成法を開発したMPCポリマーもPC基を持つ材料です。MPCポリマーで表面処理したプラスチック板は、濡らすと表面に水を含み、ぬめりを感じるほど滑らか。まるでドジョウを触っているようです。

細胞膜に非常に近い組成を持つMPCポリマーで表面処理すると、材料は生体反応を引き起こしません。すでに人工心臓など数々の医療機器がこのポリマーの恩恵に浴しています。

軟骨の構造を真似する

生体の関節軟骨と新しい人工股関節の表面

15年分に相当する歩行シミュレーションによる摩耗の比較

微粒子をマウス骨表面に移植したときの破骨細胞の形成と骨吸収の様子(©2004 Nature Material 許可を得て複製 ) MPCポリマー処理された微粒子では、破骨細胞が形成・活性化がされず、骨吸収(骨の消失)が起こらない
関節を覆う軟骨の表面には、リン脂質が集まって表面を滑らかにしています。そこで、MPCポリマーを人工股関節の関節面に用い、軟骨の表面構造を構築するという発想が生まれました。

「表面処理というアイデア。これが画期的でした」と高取特任教授は言います。

医療機器メーカーも加わり、工学・医学・企業の壁を越えた連携による新しい人工股関節の開発が始まりました。

軟骨では、リン脂質を持つポリマーがひげのように表面に結合しています。そこで研究グループは、この構造を再現することを目指し、光グラフト重合という手法でMPCポリマーのひげをポリエチレンに生やすことにしました。


生体を模倣した新しい人工股関節は、予想以上の低摩擦を実現しています。親水性のPC基を持つMPCポリマーのひげが水を引き付け、ポリエチレンと骨頭の間に水の層が作られるのです。そのためライナーの摩擦係数が驚異的に下がりました。例えば15年分に相当する1500万歩を超えた歩行シミュレーションを行っても、ライナーはほとんど摩耗しません。2011年現在、歩行シミュレーションは70年に相当する7000万歩を超えましたが、大きな摩耗は起こっていません。

またMPCポリマーは生体親和性が高いため、仮に摩耗しても、微粒子が破骨細胞を活性化することがありません。長寿命が期待できる人工股関節の完成です。

実験室の技術が患者さんに届くまで
“患者さん側から『これを使ってください』と指定していただける製品になるのではないかと期待しています”
医学系研究科・茂呂特任准教授
医療機器開発のゴールは実際の治療に役立つことです。製品化までにはシミュレーター試験や治験など、数多くのハードルがありました。

「大学が作るのは、例えるならお金も時間もかけてよいF1マシーン。会社はその技術を使って大衆車を作らなくてはいけないのです」と石原教授。

実験室の技術をいかに製品化するか。医療機器メーカーである日本メディカルマテリアル社の京本政之さんは、医学系研究科と工学系研究科の両方に机を置いて開発に取り組みました。「先生は大衆車とおっしゃいましたが、そのなかでも高級スポーツ車くらいのものを作らないといけないのです」と京本さんは言います。体内に埋め込む人工股関節は医療機器の中でもハイスペック。医学的要求と工学的技術を結びつけ、高い信頼性・生産性・機能性を同時に満たすことを目指した高度な開発が行われました。

「実験結果が出るとすぐに議論できる。工学部と医学部が同じキャンパスにいる近さが鍵でした」と石原教授は言います。

分野の垣根を越えた共同研究の成果が、ついに医療の現場に届きます。才能と情熱が出会い、新しいアイデアや成果が生まれる場所。それが東京大学です。

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研究者情報
石原 一彦 教授 (大学院工学系研究科・工学部 マテリアル工学専攻 バイオエンジニアリング専攻)
京本 政之 研究員(大学院工学系研究科・工学部 マテリアル工学専攻/ 大学院医学系研究科・医学部 関節機能再建学講座 / 日本メディカルマテリアル株式会社)
高取 吉雄 特任教授 (大学院医学系研究科・医学部 関節機能再建学講座)
茂呂 徹 特任准教授 (大学院医学系研究科・医学部 関節機能再建学講座)