リンパ節注射による花粉症の免疫療法に期待
リンパ節へアレルゲンを直接注射することで、従来に比べて短期間で苦痛が少なく、かつ安全性も高い花粉症治療が実現できる可能性がスイスを中心とした研究によって示された。
研究著者の一人であるスイス、チューリッヒ大学病院のThomas Kundig博士は「リンパ節に直接アレルゲンを注入すると効果が著しく高まり、注入するアレルゲン用量を1,000分の1未満に減らすことができ、アレルギー性の副作用も軽減できる」と述べている。この知見は、米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」オンライン版に11月10日掲載された(印刷版は11月18日号に掲載)。
著者らによると、西洋化した国々に暮らす人の35%以上がアレルギー性喘息であり、アレルギー注射(allergy shot、アレルゲン特異的免疫療法 [減感作療法] )と呼ばれる皮下脂肪組織への注射が標準的な治療法である。しかし、この方法では一般に3~5年にわたり30~70回の注射を受ける必要があり、時間がかかる上に、注射部位の腫れから全身的反応まで、アレルギー反応が引き起こされることも多く、「この治療を受けるのはアレルギー患者の5%に満たない」とKundig氏はいう。
スイスおよび米国の研究チームは、リンパ節注射の有望性を試験するため、18~65歳の約100人を対象に研究を実施した。 被験者を2群に分け、一方には3年間にわたり54回の注射をする標準的な治療を行い、もう一方には8週間で3回のリンパ節注射を実施した。その結果、いずれの治療にも同等の効果がみられたが、リンパ節治療群は従来治療群に比べて痛みが少なく、副作用の頻度も低かった。
鼻の検査によりくしゃみ、鼻汁、咳(せき)および息切れなどのアレルギー症状を評価した結果、Kundig氏らは、リンパ節治療が従来の注射に比べて短期間かつ安全な治療法であると結論付けている。また、リンパ節自体には神経がないため、リンパ節注射は採血よりも痛みが少ないとされ、患者のコンプライアンス(医療従事者の指示・アドバイスに従って行動すること)にも向上がみられたという。共同研究者である米ニューヨーク大学医学部のClifford Bassett博士は、このリンパ節治療を極めて斬新かつ興味深いものだとしており、「予備段階の知見であり、草の花粉症だけを対象としているとはいえ、新しい治療法へつながる情報」と述べている。
(HealthDay News 11月11日)
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