インターロイキン-17の産生抑制作用を発見

マイライフ手帳@ニュースより

森永乳業 食品基盤研究所は、広島大学生物圏科学研究科田辺創一准教授との共同研究から、ヒト由来末梢血単核球細胞において、2種類のビフィズス菌BB536とM-16Vが、IL-17の産生を抑制することが明らかにした。

 近年、炎症性腸疾患などの自己免疫疾患や気管支喘息などのアレルギー疾患には炎症性サイトカイン・インターロイキン-17(IL-17)が深く関与していることが明らかになっており、注目されている。

 免疫系細胞の中で、ヘルパーT細胞(Th)は免疫調節において重要な役割を担っているとのこと。従来から、タイプ1(Th1)、タイプ2(Th2)および調節性T細胞(Treg)などのサブセットが知られており、Th1とTh2が相互拮抗(Th1/Th2バランス)し、Th1過剰では自己免疫疾患に、Th2過剰ではアレルギー疾患に、TregはTh1およびTh2の調節に働くと考えられていた。しかし、近年、このTh1/Th2バランスで十分説明できない現象が多く存在することがわかってきたという。そして、2005年にはTh1、Th2およびTregに次ぐ新たなT細胞サブセットとしてサイトカインIL-17を産生するTh17が発見され、Th1/Th2バランスの矛盾点の多くが解消され、今までTh1型の疾患と考えられていた多くの疾患がTh17型であることが示唆されたとのこと。すなわち、サイトカインIL-17とそれを産生するTh17が、炎症・自己免疫疾患・アレルギーなどに深く関与することが明らかになってきたと説明する。

 これまでに、マウス脾細胞系において、ある種のビフィズス菌あるいは乳酸菌が IL-17抑制効果をもつことが報告されている(Tanabeら、Int. J. Mol. Med., 2008)。しかし、ヒト細胞では評価系が立ち上がっておらず、これまで検討例がなかったと指摘する。また、ヒトとマウスの細胞では、IL-17産生誘導機構が異なることから、ビフィズス菌や乳酸菌によるヒト細胞系におけるIL-17産生抑制作用は不明だった。

 ビフィズス菌には免疫調節作用などさまざまな生理機能が知られている。森永乳業のビフィズス菌Bifidobacterium longum BB536株には花粉症や炎症性腸疾患に対して、Bifidobacterium breve M-16V株には乳幼児のアトピー性皮膚炎に対して症状改善作用が報告されているという。炎症性腸疾患などの自己免疫疾患やアレルギー疾患の発症には炎症反応がかかわっており、ビフィズス菌などのプロバイオティクスは炎症反応を抑えることで効果を発揮することが考えられているが、その詳細は解明されていないという。

 今回、健常成人の血液から分離した末梢血単核球細胞に対して数種のサイトカインを添加することでIL-17誘導系を構築し、BB536やM-16Vの添加によってIL-17の産生が抑制されることを明らかにした。また、ビフィズス菌の添加によってTregが産生するIL-10が促進され、Th17関連のG-CSF、 IL-1RAが抑制されたという。以上のことから、ビフィズス菌はTregを活性化するとともにTh17を抑制することがヒト末梢血単核球細胞評価系で明らかになった。

 これらの結果は、世界で初めてプロバイオティクスによるヒト由来の細胞に対するIL-17産生抑制を示すもので、ビフィズス菌BB536とM-16Vは、IL-17が関与する疾病の予防・軽減に役立つことが期待される。今後、さらなる臨床応用を目指して検討を行っていく予定とのこと。

 なお、この結果を、5月20~22日に長崎市茂里町(ブリックホール、長崎新聞文化ホール、長崎文化放送ホール)で開催される「第63回日本栄養・食糧学会大会」で発表する。