「花粉症 代替医療 疫学 病理 合併症」タグアーカイブ

花粉症疑問あれこれ〜Q&A〜

Q.花粉症の歴史は?
A. 花粉症の歴史は1819年にBostockによってイネ科の花粉症がhay feverとはじめて診断され始まった。日本では1963年に荒木によりブタクサ花粉症が、1964年に堀口、斉藤らによりスギ花粉症がはじめて報告された。
Q.花粉飛散と花粉症の関係は?
A. 花粉の飛散状況は種々の花粉により異なる。スギ花粉の場合、上空まで上がり長距離を移動して大量の花粉を北海道北部、沖縄を除く日本全土に飛散させる。もちろん花粉飛散数が増加すると花粉症の発症も増加し、すでに発症している人の症状は増悪する。
Q.花粉症の疫学は?
A. いくつかのスギ花粉症の全国的な疫学調査によりその有病率は16%程度と考えられている。また最も有病率が高いのは30、40、50歳代であり、通年性アレルギー性鼻炎の好発年齢より10〜20歳高い。
Q.花粉症の病態生理・病理は?
A. 花粉に対するIgEが結合した鼻粘膜や結膜でのマスト細胞と花粉抗原が結合してヒスタミン、ロイコトリエンなどの化学伝達物質を鼻粘膜中や結膜中に放出する。粘膜に存在するヒスタミンやロイコトリエンの受容体と反応し、くしゃみ、鼻水、鼻づまりの症状が出現する。また遊走細胞により遅発相の反応が出現する。
Q.花粉症の臨床所見は?
A. 花粉症では鼻粘膜の腫脹や粘膜への鼻汁の付着が認められる。また結膜は充血する。
Q.花粉症の診断は?
A. 花粉症の診断には鼻汁中好酸球の増加、血清中の抗原特異的IgEや皮膚反応などの診断のための検査がある。簡便的には問診による季節の症状と特異的IgEの存在(血清特異的IgEや皮膚反応)により診断できる。
Q.花粉症の治療法の選択は?
A. 治療はできるだけ花粉症患者の症状に見合った治療方法を選択する。十分なインフォームドコンセントでどのような治療法でもできる限り持続させ、それでも症状がつらい様であれば再受診し、さらに患者とone step上の治療法を選択してゆく。抗原回避、薬物療法を中心に減感作療法、手術療法をうまく組み合わせる。
Q.花粉症の代替医療の効果は?
A. 花粉症の代替医療いわゆる民間医療は、花粉症が現在の治療ではなかなか治癒しないために国民に多く広がっている。効果が高いエビデンスで確認されているものは少なく、漢方薬、鼻スチーム療法などだけである。代替医療は決して否定されるものではないが、今後効果のエビデンスが必要となると考える。
Q.花粉症の重症化防止法は?
A. 花粉症の重症化の防止には、ひとつの季節での重症化と経年的な重症化の問題がある。ひとつの季節の重症化予防では、症状がなくても4月末までは治療を継続することが必要である。経年的な重症化予防では花粉暴露を少しでも減らし、抗体産生を減少させる方針が必要である。
Q.花粉症の合併症は?
A. 花粉症には、他の抗原によるアレルギー性鼻炎や結膜炎、アトピー性皮膚炎、喘息などのアレルギー疾患が合併しやすい。
Q.花粉症診療相談機関・医療機関は?
A. 花粉症の診療は、一般医、内科、耳鼻咽喉科、眼科などにより行われる。一般的な治療で症状が軽快しない症例は、アレルギー専門医に紹介されるべきである。専門医の医療機関はアレルギー協会の協力医名簿で選択される。
Q.花粉症の発症予防法は?
A. 花粉症の発症予防には、既に花粉症である人の季節中の発症予防と花粉症になっていない人の発症予防がある。
既に花粉症になった人では、花粉飛散初期からの治療が発症を遅らせたり、症状を弱める。あるいは減感作療法で花粉に対する反応閾値を高めておく。また、花粉症を発症していない人には、抗原であるスギ花粉への大量の暴露を避けることが発症への予防となる。
Q.花粉症の現在行われている研究は?
A. 現在進められている花粉症に関する研究は、メカニズム、治療法の面からの研究が主体である。厚生労働省の免疫アレルギー疾患予防・治療研究事業では現在、QOLからみた現在の治療法の評価と新しい治療法の研究が行われている。
Q.花粉症指導のポイントは?
A. 花粉症の自然治癒はごく僅かであり、治癒の可能性があるのは抗原特異的免疫(減感作)療法のみである。このため薬物療法などの対症療法では毎年治療が必要となる。またこの症状は飛散花粉の量により増減する。花粉飛散予想などから毎年治療の予定を立て実行すると症状の増悪は少ない。