【トピックス】花粉症患者が待ちに待った「舌下療法」とは?

ニッケイトレンディNETより
春の花粉シーズン。室内は空気清浄機で対応できるが、外ではそうはいかない。昨年同様、2月初め頃が飛散開始と予想されており、準備はそろそろ始めておきたい。
 花粉症の治療法には、根治が期待できる免疫療法と、薬で症状を和らげる対症療法がある。今年の5月には、新しい免疫療法についに保険が適用されることになる。
 免疫療法は、少量のアレルギー原因物質(アレルゲン)を体内に入れることで体質を変え、過敏性を減らす方法で、減感作療法とも呼ばれる。
 アレルゲンを体内に入れる方法は、2つある。一つは、以前から健康保険が適用されている注射療法。
 もう一つが、スギ花粉エキスを浸したパンを舌下に入れる舌下免疫療法だ。自宅でできるので、通院回数が少なくて済み、痛みがないのもメリット。自由診療で年間5万~10万円の費用がかかることがネックだったが、5月に健康保険が適用されることになり、費用は3割負担で済むようになる。花粉症患者には待ちに待った治療法なのだ。
 効果はどうか。舌下免疫療法を行っている日本医科大学耳鼻咽喉科の大久保公裕教授によると、「約7~8割の人で症状が改善され、なかには根治する人もいる」という。舌下免疫療法は、「屋外で症状が悪化したり、花粉の量に応じて症状が変わる人には効果が出やすい。一方で、家の中にいても鼻水が止まらないような過敏性の高い人には効果が出にくい」(大久保氏)という。効果は症状によって異なるようだ。
 なお、新しい治療法なので、健康保険が適用されても、すぐにどこの病院でも治療が受けられるわけではない。日本医科大学付属病院など、以前から舌下免疫療法を行っている病院を探す必要はある。

【治療】「舌下免疫療法」が5月から健康保険適用へ
 舌の下に花粉エキスを染み込ませたパンなどを置くだけという「舌下免疫療法」が、ついに5月に健康保険が適用される。これまでは自由診療で最大約10万円の治療費がかかっていたが、それが大幅に抑えられる見込みだ。7~8割の人の症状が改善するといわれている。2週間から1カ月に1度通院する必要がある。
舌の下に置いたパンにスギ花粉エキスを垂らし、2分待って飲み込む。舌下はリンパ節に近いためエキスの効果が出やすい
スギ花粉のエキスが入った舌下免疫療法薬。1月に製造が承認され、5月に保険適用になる予定だ

「注射」と「舌下」通院頻度と費用に差
注射と舌下の違いは、通院頻度と費用だ。舌下は自宅でもできるため、免疫療法薬を処方してもらうときに通院すればよく、患者の負担が少ない。
保険適用になれば、費用も大幅に安くなる。
【注射】
・通院 週1回~月1回
・費用 保険適用で1回500円程度
・効果 約70~80%の人が軽症、無症状に
【舌下】
・通院 2週間~月に1回
・費用 自由診療で年約5万~10万円
・効果 約70~80%の人で症状が改善