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【花粉症対策】6つの基礎知識&花粉を避ける4つの生活習慣

マイナビニュース 2月26日 より
国民病ともいわれる花粉症。東京都福祉保健局によれば、都内の飛散開始時期は2月16日〜20日ごろ。飛散量は昨年の約3〜4割程度で、少なめだといわれている。
花粉症は30〜50代に多いとされていたけれど、最近は10〜20代にも増えているそう。ピークシーズン目前、花粉症対策をリサーチした。
■“花粉症まとめ”から更にまとめた6つのポイント
MMD研究所の「花粉症に関する調査」(※)によると、20歳以上の人で花粉症にかかっている人の割合は48.7%。「かかっていない」「わからない」とほぼ同率だった。
花粉症の対策について聞くと、花粉症の人は95%以上、何らかの対策を実施していると回答。気になるのが、無防備な5%の人たちである。
「せめてマスクくらいつけては?」とよけいなお節介を言いたくなるが、驚異のアンチエイジングでおなじみの南雲吉則先生は、女性週刊誌で、マスクをせずに口呼吸するという、驚異の花粉症対策をすすめていた。もしかしたら、5%の人たちもレアな秘策を持っているのかもしれない。
同調査では、スマートフォンでどんな花粉情報を検索しているかについてもたずねている。「飛散情報」が80.6%と最も多く、次いで「オススメの花粉症対策グッズ」34.3%、「花粉アプリ」32.8%、「まとめサイト」26.9%という結果に。
筆者も「花粉症 まとめ」でキーワード検索してみると、約212万件がヒット。まとめたいくらい、まとめ情報があふれていた。まとめサイトからざっくり拾ってみた、花粉症のメカニズムや対策は以下のとおりである。
・花粉症は遺伝の可能性もあるけれど、なる人とならない人の違いはわかっていない
・沖縄は杉やヒノキがないため、花粉症がない
・飛散の多い日の外出はできるだけ避ける
・飛散しやすい時間帯は13時〜15時
・自宅に花粉を持ち込まない工夫をする
・鼻の下に塗るワセリンが人気。肌荒れを防ぐ
甜茶や鼻うがいなどの民間療法の効果については意見が分かれていた。さらに「花粉症 おすすめグッズ」とキーワード検索をかけてみると、検索候補に「花粉症 首から下げる」「花粉 首から」など、やたらと「首」推しされる。
クリックすると、ホルダータイプの空間除菌グッズが出てきた。価格は使い捨てタイプが700円台で、マイナスイオン発生器は8000円台。興味のある人は調べてみてもいいかもしれない。
■実践したい、花粉症を軽くする生活習慣
花粉症対策法はさまざまだが、セルフケアの基本は「花粉を避けること」。
日常生活で実践したいこと、避けたいことを○×形式で紹介する。
2月〜3月はまだ寒いのでウールのコートを着用……×
飛散ピーク時、室内に持ち込まれる花粉は約2000万個とも。このうち、約8割が衣類に付着したものだといわれている。花粉が付着しやすいウールのコートは、できれば家族ぐるみで避けた方がいい。ファーはもってのほか。綿や化繊素材のコートがおすすめ。花粉が付着しにくいプロテクトコートも発売されている。
帰宅したらすぐにお風呂……○
体に付着した花粉を洗い流すため。シャンプーは毎日行って、髪についた花粉もしっかり落とそう。洗顔のときは、眉毛やまつ毛などもていねいに洗う。うがいもおこない、口内をすっきりさせる。
目を洗う時は生理食塩水を使う……○
目を洗うときは、真水よりも濃度0.9%の生理食塩水を使う方が低刺激。生理食塩水は体液とほぼ同じ塩分で、点滴にも使われている。1リットルに対して9g、500mlに対して4.5g。うがい液としても使えるので覚えておくと便利。
そうじ機は夜のうちにかける……×
室内に浮遊している花粉は、夜から朝にかけて床に落ちてくる。そうじのベストタイミングは、起きてすぐ。フローリングの場合は、いきなりそうじ機をかけるよりも、最初に拭きそうじをして花粉をある程度のぞいておくと、花粉が舞い上がらない。
■花粉の治療にいくらかかる?
症状がひどい場合は、医師を訪れよう。厚生労働省によると、3割負担の場合の医療費は、初診ならワンシーズン1万2000円〜1万7000円程度、次の年からは7000円〜1万2000円程度の負担になるそう。
2014年6月からはスギ花粉症の根本治療を目指す「舌下免疫療法」が、保健適応となる見通し。今年は間に合わないけれど、来年に備えて治療を始める方法もある。
ベストな対策を見つけて、つらいシーズンを乗り切りたい。
※「花粉症に関する調査」
実施期間:2014年1月24日〜1 月25日
有効回答者数:563人
全調査結果はこちらで閲覧可能[http://mmd.up-date.ne.jp/news/detail.php?news_id=1267]
本記事は「ウレぴあ総研」から提供を受けております。
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東京都福祉保健局生活習慣リサーチ

バナナ1日2本で抑制効果 患者の感受性に影響か

2014.02.16 zakzakより
今シーズンの花粉飛散量は昨年より少なく平年並みとの予想だが、中国発のPM2・5(微小粒子状物質)を含む大気汚染で症状は悪化しやすいといわれる。強い作用の薬を飲めば、眠気などの副作用に襲われ、仕事のパフォーマンスは低下。それを避けるために最近注目を集めているのがバナナだ。
 筑波大学医学医療系、谷中昭典教授らの研究グループが、昨年11月に発表した研究成果では、1日にバナナ200グラム(約2本)を8週間食べ続けた群は、そうでない群と比べて、くしゃみの悪化が有意に抑制された。
 「われわれの研究では、花粉飛散が始まる2週間ほど前からバナナを食べ始めると、特に若い男性の患者さんで一定の抑制効果が見られました」と谷中教授は話す。
 バナナには、ポリフェノールなどの抗酸化物質や、生体の免疫反応を調整する作用のあるオイゲノールなどの香料が豊富に含まれるため、抗酸化作用や抗炎症作用、抗アレルギー作用などを発揮する可能性があると、以前から想定されていたという。ただし、今回の実験では、自覚症状は抑制したものの、体内防御システムともいうべきIgE値は変化しなかった。つまり、バナナで花粉症が治ったわけではない。
 「バナナは炎症反応自体を抑えるのではなく、同じ強さの炎症刺激に対する患者さんの感受性を、鈍くする効果があるのではないかと推察します。そのメカニズムは不明です」(谷中教授)
 治らなくても花粉症の症状軽減は可能。そんな食品としては、ヨーグルトや甜茶(てんちゃ)がおなじみ。日本耳鼻咽喉科医免疫アレルギー学会に所属する医師は、「花粉症の症状を和らげるといわれる食品は、プラセボ(偽薬)プラスα程度の効果はあると思う」と指摘する。
 薬だと信じて飲み、単なる思い込みで症状が軽くなるプラセボの作用よりは、バナナやヨーグルト、甜茶などに期待が持てるという。
 では、花粉症対策としてどう食品を選択して、活用すれば良いのか。
 「バナナ以外に、ヨーグルトや、べにふうき茶などに関しては、臨床研究論文で一定の効果のあることが報告されています。バナナとこれらの食品を比較した研究はありませんので、どれが一番おススメかはわかりません。いずれも食品ですので、長期間好んで無理なく食べられる食品を選ぶのが良いと思います」(谷中教授)
 バナナにヨーグルトをかけて食べるのも一考かもしれない。

風邪や花粉症の予防にも役立つ 「免疫力」を高める方法とは?

「免疫力を高めて、風邪や花粉症を予防しましょう」などという言葉を聞きますが、この「免疫力」とは一体何なのでしょう?
免疫の正体とともに、高める方法についての情報です。
 まず、免疫とは病原菌やウイルスなどの外敵の侵入を防いだり、 体内にできた害をもたらす細胞を除去したりするという自己防衛機能のことです。免疫力が十分に働いていれば、病気やアレルギーにかかりにくく、たとえ病気になったとしても早く健康な状態に戻れるように力を貸してくれます。
 そんな免疫力を高めるためには、どうすればよいのでしょうか。
まず、ふだんの体温を上げること。体温が上がると、血液の流れがよくなり免疫力がアップします。免疫機能をもった白血球が体中をめぐることで異物を発見し、駆除してくれるのです。体温を上げるには、湯船につかってきちんと身体を温めたり、適度に運動することがおすすめです。毎日続けることを心がけて、平熱をアップさせましょう。
 バランスのよい食事も大切です。免疫細胞をつくるもとになるたんぱく質や、免疫細胞を守り粘膜をつくるビタミン類などをバランスよくとることが大切です。また、免疫細胞の約7割は腸に集中しています。ビフィズス菌を含むヨーグルトなどで腸内環境を整えましょう。
 日本人の体温の平均は、ライフスタイルの変化により50年前と比べ0.7度下がったと言われています。そのせいか、風邪を引きやすくなったり、アレルギーを持っている人が増えているとも言われています。生活習慣や食事に注意して免疫力を上げ、病原菌やウイルスに負けない身体を目指しましょう。

アレルギー薬で劇症肝炎の恐れ

2011年6月30日(木)11時31分配信 時事通信 
 花粉症などに用いられるアレルギー用薬「アレロック」(主成分・オロパタジン塩酸塩)の服用でまれに劇症肝炎が起きる恐れがあるとして、厚生労働省は30日までに、販売元の協和発酵キリンに対し、医師向けの添付文書を改訂するよう指示した。投与後、十分に観察するよう求めている。
 同薬を服用した90代と40代の男女2人が劇症肝炎で死亡し、服用との因果関係が否定できないと判断された。

蓄のう症、花粉症との合併も増加

(毎日新聞) 2011年03月07日
横浜市内に住む会社員の女性(35)は今年1月、インフルエンザを発症した際、ひどい鼻づまりに悩まされた。鼻汁やたんは濃い黄色で、医師は「急性副鼻腔(びくう)炎(蓄のう症)を併発」と診断。女性は「常に不快なにおいを感じ、食べ物の味もいつもと違った」と振り返る。インフルエンザの回復とともに鼻の症状も消えた。
 鼻の周りには、副鼻腔と呼ばれる大小の空洞がある。蓄のう症は、空洞の内側を覆う粘膜に炎症が生じた状態で、正式には副鼻腔炎と呼ばれる。代表的な症状は、鼻づまりや黄色や緑色の粘り気の強い鼻汁、のどの後方にたんが下がってくるような感覚だ。「蓄膿(ちくのう)」の名の通り、空洞に膿(うみ)がたまるため、臭気を発したり、うみが骨を圧迫し、頭や鼻の付け根、ほお、目などに痛みを感じることも多い。1カ月以内に症状が消える急性の症状を繰り返すうちに慢性に移行する。
 鼻は、吸い込んだ空気を温めて加湿し、空気中のほこりを取り除く機能を果たす。鼻や空洞の内部を覆う粘膜の表面には繊毛があり、ほこりを吸着した鼻汁をベルトコンベヤーのように少しずつ送り出し体外に排出する。
 八尾和雄・神奈川歯科大教授(耳鼻咽喉(いんこう)科学)によると、風邪などで粘膜が腫れると繊毛機能が低下し、鼻汁が排出されずにたまる。そこに外部から混入した細菌が感染・増殖し、鼻汁がうみになる。粘膜の腫れやうみで、空洞と鼻をつなぐ穴(自然口)がふさがると空気が通らなくなり、慢性化する。八尾教授は「生活環境や栄養状態の向上で免疫力が高まり、風邪などに続いて起こる単純な蓄のう症は減った一方、花粉症などのアレルギー性鼻炎と合併して発症する人が増えている」と指摘する

マスクを除菌・消臭!

コクヨS&T株式会社(大阪府大阪市)が2010年8月2日に発売した、「マスクケース<防災の達人>」。
付属のスティックで除菌・消臭効果は約1ヶ月間持続!
独自の立体折り込み構造で、ケースを開けると耳かけ部分が自然に立ち上がるので、マスクに直接触れずに出し入れができて衛生的。
また、付属の除菌スティックと柑橘系の香料スティックが、マスクをしっかりと除菌・消臭。205mm×60mm×11mmのスリムサイズで、今まで何気にポケットに突っ込んでいた人も、これなら便利。997円。交換用の除菌、香料スティックセットは577円(ともに税込)。

花粉症のオーダーメイド医療

プレジデント 2011年2.14号
薬物療法は「病型」「重症度」に応じて薬を的確に選択し、複数の薬を併用すると、オーダーメード的医療になり、より改善へと向かう。
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スギ花粉症のシーズン到来。今年のスギ花粉飛散量は全国的には昨年の約5倍、近畿では約10倍、関東では約7~8倍と、大量飛散が予想されている。それは、昨年の夏が記録の残っている中で最高に暑かったことで、スギに花芽がたくさんついたからである。そして、花粉飛散のピークは、NPO法人花粉情報協会事務局長の佐藤紀男氏(東邦大学理学部訪問教授)によると3月上旬頃という。
アレルギー性鼻炎を訴える人は年々増加し、この10年で29.8%から39.4%にも増えている。これだけ増えた原因はスギ花粉症の増加が大きな原因と考えられている。
今年も数字を押しあげそうなスギ花粉症はスギ花粉が原因で起こるアレルギー疾患。人間の体には異物が侵入すると抗体を作り、異物を排除する免疫という働きがある。スギ花粉が体内に入ると抗体が作られ、鼻や目の粘膜にある肥満細胞と結びつく。そこにスギ花粉がどんどん入ってくると、肥満細胞からアレルギーを起こすヒスタミンやロイコトリエンが放出され、特有の症状が引き起こされる。が、「くしゃみ」「鼻水」「鼻詰まり」「微熱」では風邪なのか花粉症なのか患者には判断しにくい。今年初めて花粉症を発症する人ならばなおのこと。
患者にとってわかりやすい判断材料は「目のかゆみ」。風邪にはないが、花粉症では「くしゃみ」「鼻水」「鼻詰まり」「目のかゆみ」が4大症状である。が、勝手に自己診断することなく、耳鼻咽喉科を受診し、きちっと診察を受け、早期に治療を開始すべきである。
治療には(1) 「抗原の回避と除去」、(2)「薬物療法」、(3) 「手術療法」、(4) 「減感作療法」などがあるが、基本は(1)と(2)。スギ花粉を回避するために転地するのは難しいので、マスクやゴーグル、花粉がくっつかないツルツルのコートや帽子で回避・除去する。
もちろんメーンは薬物療法。ところが、この薬物療法に対し、「治療を受けても症状が改善されない」という声が50%近くも占めている。これは多くの医師の処方が第二世代抗ヒスタミン薬一辺倒になっているから、と指摘する声が上がっている。
薬物療法は「病型」「重症度」に応じて薬を的確に選択し、複数の薬を併用すると、オーダーメード的医療になり、より改善へと向かう。たとえば、「くしゃみ・鼻水型」「鼻詰まり型」「目のかゆみ型」「全身症状型」に分けられ、これに軽症から重症が組み合わされる。
●くしゃみ・鼻水型 ヒスタミンを防ぐ第二世代抗ヒスタミン薬が即効性あり。重症の場合は鼻噴霧用ステロイド薬を加える。
●鼻詰まり型 鼻詰まりに関与するロイコトリエンを抑えるロイコトリエン受容体拮抗薬を使う。重症時は鼻噴霧用ステロイド薬も。
●目のかゆみ型 目の抗アレルギー薬とステロイド点眼薬。ただし、ステロイド点眼薬を使うときは眼圧に十分な注意が必要で、眼科受診が基本となる。
●全身症状型 短期的にステロイド薬の飲み薬と第二世代抗ヒスタミン薬を使う。スギ花粉の飛散前や飛散初期にはヒスタミンやロイコトリエンの放出を抑える遊離抑制薬を使う。
的確な薬物療法を受けるために、主治医に自身の症状をわかりやすく伝える必要がある。たとえば1日のくしゃみや鼻かみの回数を伝える。鼻詰まりが強くほぼ1日中口で呼吸する、といった具合である。
【生活習慣のワンポイント】
食事でも花粉症の症状は多少改善できる。それが「蓮根」や「乳酸菌飲料」。蓮根に含まれるポリフェノールがアレルギー反応を抑えるという。また、乳酸菌飲料は「目のかゆみ」「鼻のかゆみ」を有意に改善する。蓮根や乳酸菌飲料を上手に食事に取り入れるのもよいだろう。

喘息/花粉症の原因物質の活性部位の構造を原子レベルで解明

マイコミジャーナル2011/03/03
理化学研究所(理研)は、理研放射光科学総合研究センター 宮野構造生物物理研究室の齊野廣道特別研究員、吾郷日出夫専任研究員と、米国のハーバード大学ブリガム婦人病院の金岡禧秀助教授、K. Frank Austen教授らによる研究グループが、気管支喘息や花粉症の原因となる物質「システイニルロイコトリエン(Cys-LT)」を体内で産生する膜タンパク質「ロイコトリエンC4合成酵素(LTC4S)」の2つのアルギニン残基が協調して酵素機能を発揮することを発見した。
生体防御の一環として働く炎症反応や免疫反応では、免疫系細胞である肥満細胞が重要な役割を担っている。肥満細胞が異物を認識すると、システイニルロイコトリエン(Cys-LT)を含むさまざまな情報伝達物質を放出するが、細胞から放出されたCys-LTは、周辺の細胞の表面にある特異的な受容体タンパク質に結合して、平滑筋の収縮、粘液の分泌促進、毛細血管の透過性亢進などを誘導し、異物の排除に重要な炎症反応や免疫反応を開始させる。
例えば風邪を引いた時の鼻水・鼻づまりなどは、このような生体防御反応の表れの一方、過剰な生体防御反応は、逆に命を危険にさらす場合があり、蜂に刺された時に、呼吸不全や血圧低下が起こるアナフィラキシーショックなどが典型的な例となる。また、Cys-LTの受容体タンパク質への結合を妨げる薬剤が、花粉症や気管支喘息の治療で有効であることが示すように、Cys-LTは、花粉症や気管支喘息の症状の発症に関わっている。
Cys-LT代謝に関わるタンパク質の構造と機能の研究は、花粉症や気管支喘息発作を含めた生体防御反応を原子レベルで理解し、制御する方法の研究に不可欠。生体内でCys-LT産生の鍵となるタンパク質は、LTC4Sと呼ばれる膜タンパク質で、LTC4Sは、脂肪酸の一種であるロイコトリエンA4(LTA4)に、生体内の還元物質であるグルタチオン(GSH)を結合してLTC4を合成する。
Cys-LTは、このLTC4と、細胞外のペプチド分解酵素によってLTC4から作られるLTD4とLTE4の総称で、これは、LTC4、LTD4、LTE4のいずれも、分子内にGSH由来のシステイン残基を含むためである。同研究グループは2007年に、LTC4Sの結晶構造解析に成功し、2つのLTC4S分子の間に作られるV字型の空間が、LTC4合成の活性部位であることなどを明らかにしていたが、GSHとLTA4の結合を促進するアミノ酸残基を確定するには至っていなかった。
今回、LTC4Sの活性部位の構造をより精密に検討するため、大型放射光施設SPring-8の理研構造ゲノムビームライン(BL26B2)と理研構造生物学IIビームライン(BL44B2:現在は理研物質科学ビームラインに改称)を用いて、LTC4Sの結晶構造を分解能1.9Åの精度で決定した。なお、1.9Å分解能は、ヒト由来膜タンパク質の結晶構造解析の精度として、現在の世界最高水準にあるという。
また、精度良く決定したLTC4Sの結晶構造の検討から、活性部位を挟んで、その両側に存在する2つのアルギニン残基が、LTA4とGSHの反応性を高める触媒残基として機能する反応機構が予想され、これを検証するため、活性部位周辺のアルギニン残基を他のアミノ酸残基に置換した変異体LTC4Sの生化学実験を実施した。
結晶構造解析の結果、150個のアミノ酸からできているLTC4S中の、31番目と104番目のアルギニン残基が、それぞれLTA4とGSHに作用し、LTA4とGSHの間の結合形成を促進している反応機構が予想された。LTA4とGSHの間に結合を作るためには、マイナスの電荷を帯びて反応性が高まったGSHの硫黄(S)が、LTA4のエポキシ基が結合した炭素(C)を、定められた方向から立体特異的に攻撃することが必要である。
通常生体内のGSHのSは、水素(H)を1つ持ち、電気的に中性であるため反応性が低く、エポキシ基を攻撃することができないが、LTC4Sの結晶構造解析結果は、104番目のアルギニン残基(Arg104)とGSHの硫黄の間の距離が3.2Åで、アルギニン残基がSからH+を奪い、GSHのSがマイナスの電荷を帯びることで、反応を促進している可能性を示したものとなった。
研究グループでは、同可能性検証のため、Arg104を、H+を奪う能力が無いアラニン残基やグルタミン残基で置換した変異体LTC4Sを作り、その酵素活性を測定した。
その結果、生体内の環境に近い中性の水溶液中では、変異体LTC4Sの酵素活性は天然型LTC4Sの酵素活性の2%程度と、弱い活性しか示さないことが判明したという。
これは、Arg104が、GSHからH+を奪い反応を促進する「塩基触媒残基」であることを示している、活性化したGSHのSの攻撃に伴って、LTA4のエポキシ基は次第にマイナスの電荷を帯び、そのままでは反応が妨げられてしまうこととなる。
結晶構造を使ったLTA4結合モデルの観察から、31番目のアルギニン残基(Arg31)が、H+をエポキシ基に与え、反応の進行に伴ってエポキシ基が帯びるマイナスの電荷を中和することで、反応を促進している可能性を推察することができたことから、これを検証するため、Arg31をほかのアミノ酸残基で置換した変異体LTC4Sを作り、その酵素活性を測定した。
H+をエポキシ基に与える能力が無く、エポキシ基のマイナスの電荷を中和できないアラニン残基、グルタミン酸残基、ロイシン残基に置換した変異体LTC4Sの酵素活性は、Arg31を持つ天然型LTC4Sの酵素活性の数%程度と弱くなった一方、部分的に中和できるグルタミン残基に置換した変異体LTC4Sでは、天然型LTC4Sの30%ほどの酵素活性を維持していた。
これにより、Arg31の位置にあるアミノ酸残基が、エポキシ基のマイナスの電荷を中和することができる場合は、LTC4を効率良く合成できることが判明した。この結果は、Arg31がH+をエポキシ基に与え、エポキシ基が帯びるマイナス荷電を中和して、反応を促進する「酸触媒残基」であることを示している。
これらの結果により、LTC4Sの2つのアルギニン残基が、一方はGSH専用の塩基触媒残基として、もう一方はLTA4専用の酸触媒残基として、協調して機能するLTC4産生の触媒残基であることが判明したという。
今回、研究グループは今回、LTC4Sのアミノ酸残基を明らかにしたが、LTC4Sの酵素としての機能の全貌を理解するためには、さらなる研究が必要としている。例えば、現在解析できているGSHを結合したLTC4Sの結晶構造では、GSHはLTC4Sの活性部位の奥深くに埋め込まれているため、そのままの構造では、合成したLTC4がLTCSから離れることができず、新しくGSHがLTC4Sの活性部位に近づくこともできない。GSHの取り込みと生成物LTC4の放出に伴うLTC4Sの大規模な構造変化が予想され、LTC4Sの機能の全貌を理解するには、LTC4Sの立体構造がどう動いて変化するかを知る必要があるという。
今回の研究で、複雑なCys-LT産生の全貌理解に一歩踏み込めたが、研究グループでは今後さらに、Cys-LTが関与する花粉症や気管支喘息発作を含めた生体防御反応の理解を進めていくことが、これを制御する創薬の研究へとつながるものとの期待を寄せている。
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最も効果を感じるグッズは「マスク」

2011年03月03日 日経トレンディネット
<< Prev | Next >> 日経BPコンサルティング 相山 幹子
 昨年の7倍、地域によっては10倍の花粉が飛散する・・・。気が重くなる予測とともに今年も“花粉の季節”が始まった。スーパーやドラッグストアの店頭には、例年より早く花粉症対策の薬、グッズ、食品が並び、早めの対策を呼びかけるPOPが目につく。本格的な飛散シーズンを迎えた今、花粉予報をチェックしつつ、ティッシュとマスクを常に携え、目薬に飲み薬にと毎日花粉と戦っている方も少なくないだろう。
 今回のトレンドサーベイでは、花粉症をテーマに、花粉症の症状や対策、使っているグッズや空気清浄機の使用状況などを調査した。「これが一番つらい!」「発症していないけどこんなに不安」といった声もあわせて、日経BPコンサルティングが保有する調査モニター1万5121人に尋ねた結果を紹介する。
花粉症発症時の仕事効率、平常時の7割にダウン
 今や国民病のひとつとも言われている「花粉症」。今回の回答者1万5121人のうち、「花粉症である」と答えた人は31.6%だった。「花粉症だと思うが、診断は受けていない」(17.1%)をあわせると、5割弱が花粉に悩まされていると答えた。男女別、年代別の発症率に、特に大きな差異は見られなかった。
 「花粉症である」と回答した4774人に発症してからの期間を聞いたところ、「5年以下」(20.2%)は2割、「6~9年」(12.6%)は1割強だった。また、「10年以上」(64.3%)が最も多く、3人に2人が、10年を超える“花粉症歴”保持者だった。
 発症時の仕事効率を、平常時と比べて回答してもらった結果が下記のグラフだ【図1】。平常時の「7割に落ちる」(24.3%)と回答した人が最も多かった。「10割(ほとんど変わらない)~8割まで落ちる」(39.3%)と感じている人が39.3%と多数派だ。しかし、「5割以下に落ちる~0割(まったく仕事にならない)」(22.5%)と平常時の半分以下にペースダウンしてしまう人も20%強を占めている。
 「お客様との電話対応時、鼻づまりがひどく喉が痛くて声が出なくてつらい」(40代男性)、「現場作業の際に、目がかゆくて集中できない」(40代男性)など、仕事場での苦慮がうかがえる声が寄せられた。
困る症状TOP3は「鼻水・鼻づまり」「目のかゆみ」「くしゃみ」
 花粉症で困っている症状を尋ねたところ、最も多かったのが「鼻水・鼻づまり」(92.1%)だ。「ティッシュを3日で3箱使用」(50代男性)するほど、「無意識のうちに鼻水が出る」(40代男性)や、鼻が詰まることで「息苦しく食事もしにくい」(50代女性)、「思考力が低下し、集中力が激減」(50代男性)など、花粉症に苦慮している声が数多く寄せられた。鼻を中心とした不快感や痛みだけでなく、身動きできない通勤時や商談などの改まった場で、思うように鼻をかむことができず困るという声も多かった。
 2番目は「目のかゆみ・炎症」(83.0%)で8割超だった。「目のかゆみがひどいときは、取り出して洗い流したくなるほど」(60代男性)、「かゆいのを我慢できずに手でこすると余計にかゆくなる悪循環に陥る」(40代男性)といった意見が挙がる。
 3番目は「くしゃみ」(68.1%)で、「くしゃみがひどい時は一日に40~50回。さすがにパワーをとられる」(60歳以上男性)、「くしゃみのしすぎで肋骨周辺が痛くなる」(40代女性)など、連続することで体力を使う、痛みが出るとの声が目立った。
 花粉症の治療のために医師の診察を受けたことがある人は8割を超えた。「耳鼻科・耳鼻咽喉科」(58.3%)受診者が最も多く、以下「内科」(38.9%)、「眼科」(17.8%)、「アレルギー科」(7.9%)の順となった。診察で「内服薬による治療」(83.1%)、「点鼻薬、点眼薬による治療」(76.7%)を受けている。今季初めて受けた、あるいは受けてみたいと思う治療法として多く挙げられた「注射による減感作療法」、「レーザー治療」は1割に満たなかった。
8割が市販薬や花粉対策グッズを使用、使用率トップは「点眼薬」と「マスク」
 この時期、多くのスーパーやドラッグストアに花粉症対策コーナーが設けられている。今回の調査では市販薬と花粉対策グッズの使用状況を聞いた。
 市販薬や花粉対策グッズを使っている人は86.5%。そのうち、市販薬使用者は6割弱、花粉対策グッズ使用者は8割弱だった。使用率を見ると、市販薬の中では、「点眼薬」(40.3%)が4割で最も高く、続いて「飲み薬(西洋薬)」(32.3%)、「点鼻薬」(26.3%)の順。花粉対策グッズでは、「マスク」(77.7%)が圧倒的に高く、8割弱を占めた。
 2位には、鼻に入る花粉をブロックするという「鼻に塗るクリーム」(18.5%)が入り、以下「うがい液」(16.5%)、「洗眼液」(16.4%)、「鼻洗浄液」(10.2%)といった花粉を洗い落とす洗浄液が続いた。
最も効果を感じるのは「マスク」、市販薬では「点眼薬」が効き目あり
 使っている市販薬、花粉対策グッズの中で、最も効果があると思うものを聞いたところ、市販薬をおさえて「マスク」が42.5%と際立って高くなった。「最初は恥ずかしいと思ったが、今はマスクさえしていれば安心感もあり、外出が楽」(30代女性)など、「鼻と口を覆うことができるマスクが一番」(30代女性)という声が目立った。2位は「飲み薬(西洋薬)」(22.0%)で、市販薬使用率でトップの「点眼薬」よりも効き目を感じている人が多い。
 今回寄せられた意見の中には、「ここ数年症状が軽くなった」(50代男性)という声も見受けられたが、多くは「今までに“これが効く”というものに出会っていない」(40代男性)という切実な声。それだけに、「毎年、新製品は一度試してみて、自分以外の人にも試してもらっている」(60代男性)、「マスクは毎年さまざまな形のものを試していて出費がばかにならないが、メガネが曇らないマスクがあれば買いたい」(40代男性)など、新しい市販アイテムへのニーズも強いようだ。

2011『花粉情報』スタート

一般財団法人日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:松尾道彦)は、2011年1月24日(月)より、全国50地点の毎日の飛散予測など『花粉情報』を、天気総合ポータルサイト「tenki.jp(http://tenki.jp)」と携帯公式サイト「気象協会晴曇雨」で開始します。
「tenki.jp」では、サノフィ・アベンティス株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 ジェズ・モールディング)とタイアップし、『花粉情報』コンテンツページをハクション大魔王がジャックします。ハクション大魔王やアクビちゃん、魔法の壺がお知らせする『花粉情報』をお楽しみください。
昨年に比べ、10倍以上の花粉飛散が予測される地域もあり、日々の花粉情報をチェックした早めの対策が重要です。