45歳から64歳で、股関節の人工関節が急増、というニュースを受けて

45歳から64歳で、股関節の人工関節が急増、より高齢の層と比べて2.4倍のペースで増加 しているそうです。

さらに「再手術の増加と医師不足に懸念が浮上」ともありました。

以下、Medエッジよりの引用です。

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米国において股関節に人工関節を入れる手術が高齢者より中年層で急増しているようだ。

 加齢に伴う再手術の増加と医師不足が懸念されるという指摘が上がっている。

急増の程度と要因を分析

 米国ニューヨークの整形外科/リウマチ治療を専門とする特殊外科病院(HSS)を含む研究グループが、米国整形外科学会(AAOS)2015年会議で2015年3月26日に報告した。

 股関節に人工関節を入れる手術は、元々は活動レベルの低い高齢者の末期の関節炎の治療法として考案されたものだ。

 この手術の需要予想に関する研究は65歳以上の人を対象とする場合が多かった。

 最近はより若い世代でこの手術の増加傾向が見られるという。

 この傾向が何に起因するのかは不明だ。

中年層の手術は9割増加

 研究グループは、増加の程度を数値化し、関連する要因を探った。

 複数の資料から、2002?11年の期間の45?64歳の手術に関する情報を収集して分析した。米国40州の入院患者データベース(NIS)や米国勢調査局、整形外科学会、疾病管理予防センター(CDC)などを用いている。調べたのは、人工股関節手術と治療費データ、人口や糖尿病や骨関節炎、外科医などに関する情報だ。

 その結果、人工股関節手術に45?64歳が占める割合は2002?11年の間に約34%から42%に増えていた。

 同期間の全体的な人口増加は約21%だったが、45?64歳の人工股関節手術は6万8000件から12万8000件に約90%増加した。

 45?64歳の人工股関節手術は、65歳以上の手術の2.4倍のペースで増加したが、人工股関節手術を行った医師の数は30%近く減少した。

 骨関節炎の危険因子である糖尿病の有病率は、人工股関節手術の増加と関連しなかった。

 研究グループは、中年層で人工股関節手術が増えているのは、主としてこの層の人口増加によると思われると結論。

 活動的な層はさらに拡大が予想され、高価な材料のインプラントの使用と再手術の増加に伴うコスト、専門医師の減少を考え合わせると大きな問題になる可能性があると指摘する。

文献情報

Middle-age hip replacements nearly double from 2002-2011, outpacing growth in elderly population. American Academy of Orthopaedic Surgeons News. 2015 Mar 26.

http://newsroom.aaos.org/

McLawhorn AS et al. Factors Influencing Demand for Total Hip Arthroplasty in Patients Less than 65 Years of Age. 2015 Annual Meeting of the American Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS). 2015 Mar 26.

http://www.abstractsonline.com/Plan/

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私が右股関節を人工股関節に置換したのは41歳。今後左股関節(固定術後)を人工股関節に置換する予定ですが、それも50歳か51歳になる予定。

若かりしころ(二十代)診ていただいていた整形外科の先生は左の股関節の固定術後、「あなたがもし自分の妹だとしたら、これ以上手術を受けることなくある程度の年齢(リタイアするくらいの年齢ということでしょうか)になるまでは仕事もせずおとなしく生活していくことをすすめると思う」と言われました。固定術後しばらくしてから、その手術を決行した(笑。ほぼ強制的にでしたから)整形外科部長に、右股関節の自骨手術を提案されていました。部長は自分の定年が近いこともあり、すこしあせっていたのかと思います。部長は部長で私の病気だけではなく、今後の人生(仕事を継続することも含め)を考えてのことだったと理解しています。

固定術は生活していくうえでは細かい不便がものすごくたくさんありますが、この手術を受けたおかげでその後右股関節が更に悪化するまで10年余り病院勤務を続けられましたし、左固定は右の股関節への負担も軽くしてくれました。(痛みが軽減しました)

私個人の人生だけに限定すれば、今のところ、人工股関節に置換したことでハード面(身体的)ソフト面(精神的)両面でストレスが大幅に軽減したことに間違いはありません。しかし、今の日本ではまだ若年層への人工関節はそう積極的にはすすめられないことだと思います。今後必ず訪れる再置換手術のことは、少なからず不安には感じています。

何歳まで生きられるか?

誰にもわからないこの問題のために、人工関節への置換を躊躇してしまうのは、私にはできませんでした。母が50代で亡くなったことも大きかったですし、なにより年齢を重ねた後の人生より今!の人生のほうが大切の思えたからです。

長く生きた後のことを考え、今我慢して痛みと共におとなしく生活するという選択も間違いではないと思います。ただ私には合わなかっただけ。いろんな価値観があって当然だと思いますので、自分以外の誰かの選択ももちろん認めます。

このニュースに関していえば、アメリカでの話しなのでそのままに受け取ることは難しいですが、私の主治医も再置換の時にはもうリタイアしてるなぁと漠然とした不安もあります。

どう頑張っても自分より若い医師に診ていただかなければならなくはなりますから(笑) 

【トピックス】治りにくい軟骨、iPSで作製 京大「4年内に臨床へ」

加齢やスポーツで傷むことが多い関節の軟骨組織を、人のiPS細胞から作り出すことに京都大のグループが成功した。軟骨が傷ついたミニブタに移植し、きちんと機能することも確認した。人工関節などに代わる治療法として、グループは4年以内に人で効果や安全性を確かめる臨床研究を始める方針。

 成果は米科学誌ステム・セル・リポーツ(電子版)に27日発表する。軟骨は、骨が接し合う膝(ひざ)や肘(ひじ)の関節で骨の表面を覆い、衝撃を和らげる。軟骨細胞とコラーゲンなどでできており、正常な軟骨は滑らかで「硝子(しょうし)軟骨」と呼ばれる。iPS細胞などで軟骨細胞を作ったという報告はあったが、治療に使える硝子軟骨まではできていなかった。

 京大iPS細胞研究所の妻木範行教授らは軟骨細胞になったときにだけ光る、人のiPS細胞を作製。様々な条件で培養し、硝子軟骨を作ることに成功した。さらに、薬で拒絶反応を起こさないようにしたミニブタに移植し、周りの軟骨と融合して1カ月後もくっついていることを確かめた。

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自分の細胞から関節や軟骨が再生できれば、本当に夢のようですね。

まずは軟骨から。少し磨り減ったくらいの初期の段階が対象になるのでしょうか。

【トピックス】抗菌薬入り骨セメント発売

2014.05.20 47NEWSより
 膝や股関節の人工関節置換術に用いられる骨セメントに、抗菌薬(ゲンタマイシン)を含有した製品「Cobalt G―HV ボーンセメント」をバイオメット・ジャパン (本社東京)が発売した。海外では既に抗菌薬入りのセメントが広く使われているが、国内では初めてだという。
 骨セメントは骨と人工関節を固定するために使われる。これまでは感染予防のため、医療現場で抗菌薬を混ぜることがあったが、混合する際の気泡混入による強度低下や、手術スタッフの作業負担が指摘されていた。
 日本では年間約12万8千人(2012年)に人工関節置換術が実施されており、高齢化に伴い増加傾向が続いている。
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人工関節の感染は、術後何年経過しても心配事のひとつですよね
少しでも安心して生活が送れるようになればよいですね

【トピックス】人工関節、耐久性30年以上に ナカシマメディカルが素材開発

2014/5/12 23:55 情報元 日本経済新聞 電子版 記事保存
 人工関節メーカーのナカシマメディカル(岡山市)は、人工関節の耐久性を従来の1.5倍の30年以上に延ばす素材を開発した。樹脂にナノテクノロジー(超微細技術)素材のカーボンナノチューブ(筒状炭素分子)を混ぜた。人工関節が摩耗したり割れたりする劣化が起こりにくくなった。マウスなどで安全性を確かめ、2年後をめどに臨床試験(治験)を始めたい考えだ。
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耐久30年となると、入れ替えが必要なくなるかも!?
若年の患者にとっては朗報ですよね

【トピックス】日本初 人工関節置換術に用いるゲンタマイシン入り骨セメントを販売開始

QLifePro医療ニュースより

2014年5月より発売

バイオメット・ジャパン株式会社は4月14日、人工関節置換術に用いる骨セメントに、日本で初めてとなるゲンタマイシン(抗菌薬)を含有した「Cobalt G‐HV ボーンセメント」の日本国内の販売を、2014年5月より開始すると発表した。
人工関節置換術では、気泡混入による強度低下や手術スタッフの負担といった問題が指摘されつつも、感染予防を目的として骨セメントに抗菌薬を混ぜて骨と人工関節を固定するために使用されることがある。
海外では既に抗菌薬入り骨セメント(ALAC)が広く使用されており、国内での抗菌薬入り骨セメントの発売は多くの整形外科医から望まれていた。
抗菌スペクトラムの広いゲンタマイシンを含有
視認性と操作性に優れた骨と人工関節を固定するために用いられる骨セメントで、整形外科医から高い評価を得ている「Cobalt HV ボーンセメント」に、ゲンタマイシンを含有させたものが今回発売となるCobalt G‐HV ボーンセメント。問題となる強度も、Cobalt HV ボーンセメントとほぼ同等程度を保っているという。
人工関節置換術を行った患者が感染症を発症すると、時には埋稙した人工関節を取り出し、数カ月単位で感染症治療を行った後に、改めて人工関節置換術を行う必要があるなど、その負担は非常に重いものとなる。感染症対策がなされたCobalt G‐HV ボーンセメントの登場は、患者負担軽減のための新たな選択肢として期待される。

【トピックス】90歳以上でも股関節置換術は安全

健康美容EXPOニュースより
社会の高齢化に伴い、人工股関節置換術を必要とする高齢者がますます増えると考えられるが、手術は何歳まで可能なのだろうか。
米カイザー・パーマネンテ(ロサンゼルス)の整形外科医Alexander Miric氏が率いた新たな研究で、90歳以上の患者183人と、90歳未満の患者4万3,000人強に実施した股関節置換術を比較した結果、同等の成果が認められたという。この知見は、米ニューオーリンズで開催された米国整形外科学会(AAOS)年次集会で発表された。股関節置換術は1960年から実施されており、米国医療研究品質局(AHRQ)によると、米国では年間約28万5,000件の人工股関節全置換術が実施されているという。
今回の研究では、関節全置換術の登録簿から収集したデータを用い、2001年4月から2011年12月までに実施された股関節置換術について分析。80歳未満、80?89歳、90歳以上の3つの年齢層について、入院期間の長さ、術後の合併症、死亡率および術後90日間の再入院率を比較した。深部静脈血栓症のみられた患者は90歳以上ではおらず、80?89歳では1.2%、80歳未満では1%未満だった。90歳以上の感染症の比率には80歳未満との差はみられなかったという。
90歳以上では入院期間がやや長く、平均3.4日だったのに対し、80歳未満では2.8日、80?89歳では3.3日だった。また、90歳以上では術後3カ月以内の再入院率が高かったほか、90日以内の死亡率が最も高く、2.7%だったのに対し、80?89歳では1.3%、80歳未満では0.2%だった。Miric氏は、90代の股関節置換術は見通しが明るく、90代であっても外科医と話し合い(手術の実施を)検討すべきだと述べている。
米ラッシュ大学メディカルセンター(シカゴ)教授のCraig Della Valle氏は、この結果は意外なものではないと述べている。同氏は、「90歳まで生き、関節炎に悩むほど健康であるということは、活動的で選択的手術にも耐えられることを意味する」と述べる一方、徹底的な術前評価を行い、手術に適格であることを確認する必要があると警告している。また、今回の研究で90代に認められた2.7%という死亡率は高いように思えるとの同氏の指摘に対し、Miric氏は、90歳以上での1年以内の死亡率は一般には約20%だが、今回の研究では90歳以上の集団の1年以内の死亡率は5.5%だったと述べている。
なお、この研究は学会発表されたもので、データおよび結論はピアレビューを受けて医学誌に掲載されるまでは予備的なものとみなす必要がある。(HealthDay News 3月11日)

【トピックス】人工股関節置換術、臨床的対応による死亡低減 ?Lancet誌

10月10日 QLife Proより
4臨床的対応、死亡率減少と関連あり
後方アプローチによる手技、術後の機械的血栓予防または化学的血栓予防、脊髄麻酔の実践が広く普及することで、変形性関節症の治療における人工股関節置換術後90日以内の死亡が低減する可能性が示唆された。
英国ブリストル大学のアシュレー・W・ブロム(Ashley W Blom, PhD)氏らによって行われた研究報告が、28日の電子版ランセット(The Lancet)誌に掲載された。
装具の違い、死亡率と関連なし
術前および術後に死亡低減の要因があるか否かを評価分析するために、患者登録システムであるナショナル・ジョイント・レジストリ(NJR: National Joint Registry)、全国死亡データベース(national mortality database)、病院統計データベース(HES: Hospital Episode Statistics database)から、2003年4月から2011年12月までのイングランドとウェールズにおける症例および死亡データが得られた。
人工股関節置換術409,096例と、90日以内の死亡1,743例について、カプラン・マイヤー分析法とコックス比例ハザードモデルを用いて評価した結果、死亡率の減少との相関が得られた臨床的対応と調整ハザード比は次の通りとなった。
後方アプローチによる手技(0.82、95% CI 0.73?0.92、p=0.001)、術後の機械的血栓予防(0.85、0.74?0.99、p=0.036)、術後のヘパリン投与(アスピリン併用投与あるいは非併用)による血栓予防(0.79、0.66?0.93、p=0.005)、脊髄麻酔(対全身麻酔0.85, 0.74?0.97、p=0.019)。
装具の違いと死亡率との間に、関連はみられなかった

【トピックス】関節置換術後の新規抗凝固薬に低分子ヘパリンを上回る利益はあるか

2013. 9. 5
Ann Intern Med誌から
関節置換術後の新規抗凝固薬に低分子ヘパリンを上回る利益はあるか
米国で行われたシステマティックレビューの結果
人工股関節全置換術(THR)または人工膝関節全置換術(TKR)後の静脈血栓塞栓症の予防目的で使われる低分子ヘパリン(LMWH)と、近年登場した新しい抗凝固薬の有効性、安全性を比較したところ、症候性深部静脈血栓症の予防において新規抗凝固薬の利益は高いが、出血リスクも高い傾向が見られた。米Duke大学のSoheir S. Adam氏らによるシステマティックレビューの結果で、論文はAnnals of Internal Medicine誌2013年8月20日号に掲載された。
 血栓予防を目的とする抗凝固療法は、THRまたはTKRを受けた患者の静脈血栓塞栓症のリスクを低減するが、大出血リスクを上昇させる可能性がある。したがって、血栓予防効果がより高く、出血リスクはより低い薬剤を選択することが望ましい。
 THRまたはTKRを受けた患者に広く用いられてきたのはLMWH、フォンダパリヌクス、ワルファリンだ。このほかに、未分画ヘパリン、アスピリンが適用されることもある。LMWHの有効性と安全性を示したデータは十分にある。
 近年、新規経口抗凝固薬(直接トロンビン阻害薬、経口第Xa因子阻害薬など)も血栓予防の選択肢となった。著者らは、米退役軍人省の依頼を受け、THRまたはTKRを受けた患者に新規抗凝固薬を適用した場合の利益とリスクを標準的な抗凝固療法と比較するためのシステマティックレビューを行った。
 MEDLINE、EMBASE、コクランシステマティックレビューデータベースに09年1月?13年3月に登録された研究から質の高いシステマティックレビューを探し、THRまたはTKRを受けた患者に対する新規抗凝固薬の血栓予防効果をLMWHと比較した6件のレビューを分析対象とした。新規抗凝固薬とワルファリン、アスピリン、未分画ヘパリンを比較した質の高いレビューは見つからなかった。
 6件中2件は薬剤クラス間の比較(例えば第Xa因子阻害薬とLMWHの比較など)を行っており、4件は個々の薬剤を比較していた。全てのレビューが直接比較を行っており、2件はそれに加えて間接比較も行っていた。5件は同一の定義を用いて大出血に関する分析を実施していた。
 Neumann氏らのシステマティックレビューは、22件のランダム化比較試験(3万2159人を登録)を分析対象とし、第Xa因子阻害薬(アピキサバン、リバーロキサバン、エドキサバン、YM150、LY1517717、TAK442、razaxaban、betrixaban)とLMWHを比較していた。エビデンス強度の高い試験では、第Xa因子阻害薬とLMWHで全死因死亡と非致死的肺塞栓症への影響に有意差を認めなかったが、症候性深部静脈血栓症のリスクは、LMWHに比べ第Xa因子阻害薬の方が1000人当たり4人(95%信頼区間3-6)少なかった。オッズ比は0.46(0.30-0.70)で差は有意だった。大出血を報告していた研究のエビデンス強度は中等度だった。第Xa因子阻害薬の方がLMWHより1000人当たり2人(0-4)多く大出血を経験する傾向が見られた(オッズ比1.27、0.98-1.65)。
 第Xa因子阻害薬とLMWHを比較した他の系統的レビューでも、同様の結果が得られた。
 経口直接トロンビン阻害薬のダビガトランとLMWHを比較していたレビューは4件あり、症候性深部静脈血栓症リスク、肺塞栓症リスクはLMWHに比べダビガトランの方が低下傾向を示したが、有意差は見られなかった(エビデンス強度はいずれも低)。大出血のリスクに上昇傾向は見られなかった(エビデンス強度は中等度)。
新規抗凝固薬の直接比較は行われていなかったが、LMWHのエノキサパリンと新規抗凝固薬の比較で得られたデータを利用して間接比較が行われていた。第Xa因子阻害薬間の間接比較では、症候性深部静脈血栓症リスクは、ダビガトランに比べてリバーロキサバンの方が低い(リスク比0.68、0.21-2.23)傾向が見られ、アピキサバンとリバーロキサバンの比較でもリバーロキサバンの方がリスク低下傾向が見られた(0.59、0.26-1.33)。ダビガトランに対するアピキサバンのリスク比は1.16(0.31-4.28)だった。一方、大出血リスクは、アピキサバンに比べてリバーロキサバンの方が高くなる傾向が見られた(リスク比1.59、0.84-3.02)。ダビガトランに対するリバーロキサバンのリスク比は1.37(0.21-2.23)、ダビガトランに対するアピキサバンのリスク比は1.16(0.31-4.28)で、いずれもリスク上昇傾向を示した。間接比較のエビデンス強度は全て低かった。
 新規抗凝固薬はTHRとTKRを受けた患者の血栓予防において有効だが、LMWHを上回る臨床上の利益はわずかで、大出血リスクの上昇により相殺されるレベルだった。著者らは、新規抗凝固薬は選択肢の一つになるが、出血リスクが上昇している患者への適用には注意が必要だと述べている。

〜股関節全置換術〜女性で高い再置換術の施行率

MTPro [2013年4月11日(VOL.46 NO.15) p.01]
〔シカゴ〕南カリフォルニア・カイザーパーマネンテ医療グループ(カリフォルニア州サンディエゴ)のMaria C. S. Inacio博士らは,人工股関節全置換術(THA)後の再置換術に関する性差を検討した結果,「男性に比べて女性では,患者背景や術式,執刀医,手術件数,インプラントに関連した危険因子で調整後の不具合の発生リスクが高く,再置換術の施行が多いことが分かった」とJAMA Internal Medicine(2013; 173: 435-441)に発表した。
女性で有意に低いインプラントの5年耐久率
 Inacio博士らは今回の研究で,2001年4月〜10年12月に全関節置換術登録に登録された患者からTHA施行患者3万5,140例を同定し,術後短期の再置換リスクと性との関連を検討。対象患者の平均年齢は約65.7歳,女性比率は57.5%であった。
 今回の大規模解析では,46施設における多様なTHA症例のデータが用いられた。追跡期間は中央値3.0年であった。
 検討の結果,全原因による再置換率と感染以外の原因による再置換率は男性に比べて女性で高かったが〔それぞれ,調整後のハザード比(HR)1.29,1.32〕,感染による再置換率(HR 1.17)に男女差は認められなかった。
 インプラントの選択に関しては,骨頭径28mmの使用は女性に多く(女性28.2%,男性13.1%),骨頭径36mm以上の利用は男性に多かった(女性32.8%,男性55.4%)。また,高度架橋ポリエチレンを用いたインプラント(金属ヘッド使用)は女性に多く(女性60.6%,男性53.7%),金属ソケットと金属ヘッドの組み合わせは男性に多かった(女性9.6%,男性19.4%)。
 5年追跡時点でのインプラントの耐久率は97.4%で,女性の耐久率(97.1%)は男性の耐久率(97.7%)と比べて有意に低かった(P=0.01)。
 同博士は「THA後の患者管理とインプラントの改良においては,術後のインプラントの不具合と性差との関連が重要であることが示された」と指摘している。

表面置換型人工股関節置換術 全置換術より早期再手術率高い

MTPro [2013年1月24日(VOL.46 NO.4) p.03]
〔ロンドン〕ブリストル大学(ブリストル)臨床科学部整形外科のAshley W. Blom教授らの研究グループは「従来の人工股関節全置換術(THR)の代替療法として若年患者に推奨されることの多い表面置換型人工股関節置換術(以下,表面置換術)は,術後早期に再手術が必要となることが多く,特に女性には施行すべきではない」とする観察研究の結果をLancet(2012; 380: 1759-1766)に発表した。
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表面置換型人工股関節置換術は、標準型人工股関節に比べて、
●大腿骨の骨自体が従来型に比べて温存される
●今までの報告では手術後の脱臼がない
●大腿骨コンポーネントの再置換が従来型より容易である
などの利点があります。
欠点としては、
●10年以上の臨床成績が発表されていない
●脚長補正が難しい
●骨盤や大腿骨に強い変形がある場合は不適
●大腿骨頚部骨折の発生率0?4%
●体内金属イオンの増加
などがあげられるそうです。
骨切り手術によっても股関節痛が軽快しにくい病期が進行した若い方や手術後も活動的な生活を希望される方々に対しては、適応があるのではということなのですが、術後早い時期に再手術が必要となることがあるというのは、社会活動を行っている(仕事をしている)年代にとってはネックになる問題だと思われますね。