人工関節:国内最大手「JMM」 「正座OK」で目指す頂点
<おおさか発・プラスアルファ>
関節痛で長く歩くのがつらい、正座ができなくなった??。年齢を重ねるうちに軟骨や骨がすり減ったり、変形することで起こる関節痛の治療に用いるのが、人工関節だ。国内メーカー最大手の日本メディカルマテリアル(JMM、大阪市淀川区)は、日本人の生活習慣や骨格に合わせた製品開発で、欧米メーカーが強い国内市場でトップシェアを狙う。【武内彩】
◇欧米圧倒の市場で
関節痛は、関節にかかる衝撃を吸収する軟骨や骨がすり減ることで起こる。治療法のひとつが、悪くなった関節を金属やセラミックなどでできた人工関節と替える人工関節置換術だ。国内の膝と股関節の症例数は、年間約17万件。うち米国やドイツなど欧米メーカーがシェアの大半を占め、国内最大手のJMMでも約1割にとどまる。
欧米メーカーに対抗するため、骨格はもちろん生活習慣まで考慮した製品開発にこだわってきた。欧米流の椅子に座る生活では、膝の曲げ伸ばしは90度程度で済むが、それでは正座するのは難しい。
JMMの「Bi?Surface(バイサーフェス)」は、140?145度まで膝を曲げられる。独自技術で、大腿(だいたい)骨側の関節部分をボール状にし、脛(けい)骨側は半球状のくぼみを付けることで、スムーズに回旋するようにした。91年以降、国内で約1万6000件の使用実績を上げている。
◇生活似たアジアも視野
生活様式が似ているアジア圏でも需要はあるとみる。10年に中国に進出し、本格的な海外展開に乗り出した。中国では富裕層を中心に症例件数が増えており、日本市場を追い越す勢いで成長しているという。野元修社長は「まずは国内トップ、その後は世界に出る。海外での売り上げ比率を上げていきたい」と意気込む。
今年秋には、東京大学と共同開発した人工股関節の新商品「Aquala(アクアラ)ライナー」を発売する。世界で初めて、生体が異物と認識しない「生体親和性ポリマー」を関節の表面処理に使用した。人工関節は使い続けると、こすれて摩耗粉が発生。この粉が免疫反応を起こし、骨が変形して人工関節との間にゆるみが出る。新商品は生体親和性ポリマーを使うことで、摩耗粉を抑えるという。膝関節への応用や海外展開も検討する。
◇再手術に備え部品保存
06年に導入した「永久交換システム」は、生産を終了した製品の部品もすべて保存するサービスだ。人工関節は長年使い続けるうちに摩耗が起こるが、経年劣化する部品を一定期間ごとに生産し直して保管し、劣化した部分だけを交換できるようにした。手術から20年後、30年後でも部品はそろい、患者の負担が軽減する。
以前は耐久性の問題から、人工股関節の適用年齢は65歳以上と言われていた。使用途中での再手術を避けるためで、若いうちは痛みを我慢する人も多かった。最近は耐用年数が15?20年以上に延び、50歳代で手術を受ける人も増えているという。野元社長は「これまで諦めていた人が治療を受け、旅行や軽い運動を楽しんでいるという声を聞くのがうれしい」と話す。
==============
◇日本メディカルマテリアル
04年、京セラと神戸製鋼所の医療機器部門を合併して設立。京セラのセラミックと神戸製鋼所のチタンの技術がタッグを組んだ。人工関節の分野では、前身の京セラ時代を含めると30年以上の実績があり、人体への親和性が高いといわれるセラミックやチタン合金などの材料から表面処理まで、自社で一貫生産できるのが強みだ。
毎日新聞 2011年7月15日 大阪朝刊
生体機能を模倣した新しい人工股関節を実用化
平成23年6月23日
東京大学大学院工学系研究科(該当ページにリンクしています)
1. 発表者:
石原 一彦(東京大学大学院工学系研究科 マテリアル工学専攻/バイオエンジニアリング専攻 教授)
2.発表概要:
東京大学大学院工学系研究科石原一彦教授、国立障害者リハビリテーションセンター中村耕三自立支援局長(東京大学医学部附属病院整形外科・脊椎外科前教授)及び日本メディカルマテリアル株式会社は、産学連携で石原教授の持つ生体親和型バイオマテリアル技術を利用した人工股関節の開発を行ってきたが、性能評価、安全性の評価が終了し、このほど、医療機器として製造販売承認され、今秋より臨床の現場での実用化にいたる運びとなった。
3.発表内容:
<背景>
高齢者人口の増加に伴い、関節の機能に支障をきたし、運動不全となる人口も増加してきている。現在、国内では年間4万件以上の人工股関節置換術が行われ、この件数は年々増え続けている。
疾患の初期段階では、薬剤療法などで関節の痛みや疾患の進行はある程度抑えられるが、激しい痛みなどで患者の生活の質が著しく低下すると、人工関節に置き換える処置など手術療法が選択されることが一般的である。人工股関節置換術は、患者の運動機能回復には大きな役割を果たす優れた治療法といえるが、人工股関節の寿命(耐用年数)を規定する「弛み」という深刻な合併症に対する決定的な解決策が得られていない。この「弛み」が起こると人工股関節を入れ換える(再置換)手術が必要となる。また、将来、再置換の繰り返しが必要となるような若年層の患者に対する適用も困難である。
「弛み」の過程は、人工股関節の関節面から発生する摩耗粉から始まる。免疫細胞がこの摩耗粉を異物として認識し排除する際に、破骨細胞を形成・活性化し、埋入された人工股関節の周囲の骨を吸収するため、「弛み」に至る。したがって、摩耗粉の発生を抑えることがこれまで大きな技術課題であった。摩耗粉は関節面を構成するポリエチレンから発生するため、ポリエチレンに高エネルギー線を照射して架橋・硬質化させるなど、従来から対策がとられてきたが、根本的な解決までには至っていない。
<新技術の特徴>
本技術は、石原教授の持つ生体親和型バイオマテリアル技術(人工細胞膜の構造を創るマテリアル技術)であるMPCポリマーで人工股関節の関節面を構成するポリエチレンライナー(図1)の表面を処理するものであり、これにより耐摩耗性の向上を実現した。
生体の関節軟骨表面にはリン脂質の組織化層が存在しており、この層により関節面が保護され、潤滑機構が保たれている。そこで本開発では、リン脂質構造を含み、生体親和性に優れているMPCポリマー(図2)に着目し、人工股関節のポリエチレンライナーの関節面に、ナノメートルスケールのMPCポリマーの層を形成した(図3)。
人工股関節の関節面に形成された人工細胞膜様のMPCポリマー層により、関節面には薄い水の層ができるため、生体の関節軟骨と同等の高い潤滑性が発現した。股関節シミュレーターを用い、1000万サイクルの股関節の運動を模擬した摩耗試験を行ったところ、未処理のポリエチレンライナーに比べて、摩耗量の大幅な低減が確認された(図4)。すなわち、人工股関節の寿命の延長が期待できる。
本開発では、2007年より臨床試験を実施し、安全性を確認した。臨床試験結果をまとめて薬事承認申請を行い、今年4月に医療機器として製造販売承認を取得した。この人工股関節は、完全に我が国オリジナルの研究成果であり、人工股関節の再置換手術の必要性を効果的に低減し、患者の生活の質の向上に貢献することが期待される。
<特記事項>
研究チームは、本研究成果により、「第25回(2011年度)独創性を拓く 先端技術大賞 経済産業大臣賞(産学部門・最優秀賞)」を受賞した。(受賞式:7月27日)(http://www.fbi-award.jp/sentan/jusyou/index.html)
・本研究は(独)科学技術振興機構(JST)の委託開発事業の支援を受けて実施された(平成17年度?23年度)。
・6月23日に日本メディカルマテリアル株式会社主催のメディアセミナーを開催し、広く情報の提供に努めることとした。
移植骨に代わる人工股関節用
バイオメット・ジャパン株式会社(本社:東京都港区芝1丁目5番9号、以下バイオメット)は、人工股関節置換術/再置換術、特に臼蓋側に骨移植が必要な症例において、寛骨臼の骨欠損部を補填・再建するため、移植骨の代替として期待される新しい骨補填材料を、2011年1月に日本導入いたしました。
今回導入いたしました骨補填材料は、チタン合金の採用によって荷重部位への適用を可能にした高い強度と骨に近い柔軟性を併せ持ったコンポーネントで、早期骨新生の実現、血管新生の実現、優れた初期固定力の獲得を目指し開発しました。その構造は、連続的な気孔構造を備えたチタン合金製多孔質構造体で、移植骨の代替として期待できることから、「インプラントのひとつでありながら、移植骨の代替となることは、新機能である」ことが認められ、医療機器にかかわる保険適用の区分で「区分C1」として収載されました。
チタン合金製多孔質構造体の平均気孔率は67%で気孔の連続性が高く、その気孔サイズは生物学的固定に最適な100?600? ※(平均300 ?)です。この気孔に骨と血管が入り込み新生し、時間経過とともに骨と人工材料が密着します。
導入背景 : 人工股関節置換術における骨移植
日本人に多い、先天性股関節脱臼や臼蓋形成不全などへの人工股関節置換術、あるいは再置換術では、臼蓋側(骨盤側)に欠損部があり、骨移植が必要な場合が多くあります。従来からこうした骨欠損部には、患者自身の腸骨などから移植用の自家骨を採取して補填する方法などが用いられてきましたが、この新しい骨補填材料を採用できれば、移植骨の採取に必要な侵襲を加える必要がなくなり、患者の体への負担がより軽減されます。
バイオメットの人工股関節置換術/再置換術用、骨補填材料
1.医療機器にかかわる保険適用の区分で、「区分C1」に収載
骨欠損部がある場合の人工股関節置換術/再置換術において、移植骨(自家骨、他家骨)を用いることなく欠損部の補填ができます。移植骨の代替となることは、既存の機能区分の定義に当てはまらない“新しい機能”であると認められ、医療機器にかかわる保険適用の区分で、「区分C1」に収載されました。
2.より骨温存・低侵襲での手術となり、患者の体への負担が軽減できる
移植骨(自家骨、他家骨)の準備が簡素化、手術時間も短縮される
これまでは骨欠損部がある場合、患者自身の腸骨などから移植用の自家骨を採取して骨欠損部を補填する方法がとられていましたが、この新しい骨補填材料を用いることで移植骨の採取が不要になり、手術をより骨温存・低侵襲に行うことができます。これによって患者の体への負担は軽減し、早期回復、早期退院、早期歩行が期待できます。
3.欠損部に応じた組み合わせが可能な12サイズの豊富なバリエーション
この新しい骨補填材料は欠損部に応じた組み合わせが可能な豊富なバリエーションで12サイズが揃っており、原臼位に近い設置が可能です。骨欠損部が広範囲な場合は、この骨補填材料を2個以上組み合わせられます。
以上 共同通信より
※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?
股関節の手術時、私も骨移植を行っています。
1回目は、左股関節固定術のとき大腿骨を骨盤に固定させるため、腸骨から採取したもの。この採取した後は術後ずっと現在も皮膚が少し引きつれるようになってへこんだ感じになっています。
2回目は右の人工股関節置換術のとき。カップを固定させるに当たり臼蓋形成のため。この骨は切除し捨てられる運命となっていた大腿骨頭を利用したそうです。
臼蓋形成にあたっての新たな侵襲が減らせられるというのは、大変ありがたいことですよね。日進月歩の医学界。病気の進行に負けないくらいもっと進んでほしいです。
より低侵襲の人工関節置換術?専門医ナビより
いい病院2011
2011年02月25日 掲載
MIS(Minimally Invasive Surgery; 最小侵襲手術)は、小皮切から筋腱非切離または最小限の筋腱切離により人工関節を設置する手術法です。皮膚切開が小さいため手術創が目立たない美容的側面だけでなく、手術後の機能回復が早いため、早期リハビリテーション、入院期間の短縮、早期社会復帰が可能となります。
人工股関節置換術におけるMIS
変形性股関節症などの股関節疾患や骨粗鬆症に起因する大腿骨頸部骨折に対して、人工股関節置換術や人工骨頭置換術が施行されます。
股関節手術におけるMISは種々の方法が開発されています。前方アプローチ(DAA法)、前側方からのOCM法は筋肉と筋肉の間から股関節に到達するため、基本的には筋肉を全く切離しません。よって術後は極めて早期にリハビリテーションを実施することが可能です。しかし症例によっては股関節の展開は不十分となる欠点もあります。
前側方からのmini-one法は、少しですが筋腱を切離することにより股関節の広い展開が得られ、正確に人工関節を設置できます。また、mini後側方アプローチも広く行われています。
大切なことは、それぞれの症例に最も適したアプローチと最も適した人工股関節インプラントを正確に設置できる方法を選択することです。これによって手術中の出血量も少なく、手術時間も短縮することができます。また術後疼痛も緩和し、不安を軽減して手術を受けていただくことも可能となります。
人工膝関節置換術におけるMIS
人工膝関節置換術においてのMISも股関節と同様に、出血量の減少や術後疼痛の軽減をいかに達成するかも大切ですが、人工関節置換後の膝機能の獲得が重要です。よってMISにより膝伸展機構、すなわち大腿四頭筋になるべく侵襲を加えず、また膝蓋上包を温存する方法が開発されています。
人工膝関節は膝の内側を小切開して設置することが多く、また、各症例における術前の膝関節拘縮の程度や大腿四頭筋の一つである内側広筋の膝蓋骨への付着部位に応じて、より最適な手術方法が選択されています。
3次元コンピューターシミュレーションとナビゲーションシステム
MISは小切開から人工関節を設置するため、正確な術前計画をたてることに役立ちます。術前に撮影したCT画像をコンピューター上で3次元再構成し、その3次元画像上で各症例の骨形状や左右の脚長差を考慮して、最適な人工関節のサイズおよび設置位置を決定します。
この3次元コンピューターシミュレーションのデータを用いて手術中にコンピューターナビゲーションシステムを活用し、術前計画通りに人工関節を正確に設置することも可能です。
MISでは関節の展開がどうしても狭くなるため、実際に術者の目で確認できない手術操作ではコンピューターナビゲーションシステムが極めて有用です。
正確な人工関節の設置は人工関節の耐久性や関節可動域を向上させ、脱臼などの術後合併症を減少させます。
MISのテクニックやコンピューター技術による正確な人工関節の設置などにより、より安全な人工関節置換術手術をうけられるようになっており、現在の人工関節の耐用年数は20〜30年に達しています。
世界進出の機逃しそうな日本製人工関節
小久保 正 氏(中部大学 生命健康科学部 教授)
井上春成賞贈呈式(2010年7月21日、井上春成賞委員会 主催)受賞者あいさつから
人工関節は、長期にわたって周囲の骨にしっかり固定されることが望ましい。そのためこれまでにさまざまな工夫がこらされてきた。これに対し私たちは1994年、人工関節に使われているチタン金属を水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、その後加熱処理すれば、それだけでチタン金属は骨と自然にくっつくようになると提案した。しかしこれは擬似体液を用いた実験だけで推測したものである。これを人工関節として実用化するためには、たくさんの越えなければならい障壁があった。
まず、この推測が当たっているかどうか動物実験で確めなければならない。この実験は、京都大学医学部の中村孝志先生とそのグループの方々が担い、このように処理したチタン金属は実際に骨としっかりくっつき、人工関節として有望であることを示してくださった。これを医療機器として実用化するには、これに目を止めてくださる企業人が必要である。幸いにも当時神戸製鋼所におられた松下富春氏がこれに目を止め、実用化課題とすべく上申してくださった。
しかし人工関節は、一度使ったら2度と使わなくて済むものを目指すから、たくさん売れる商品ではない。しかも実用化には、臨床テストを経て製造承認まで長い時間とお金のかかる商品である。企業にとって魅力的な商品ではない。それにもかかわらず、この人工関節が実用化課題として取り上げられたのは、その実用化研究を科学技術振興事業団(当時、現・科学技術振興機構)が委託開発課題として採用してくださったことによるところが大きい。
これにより実用化研究が進められ、京都大学医学部と金沢医科大学が臨床試験を担ってくださった。これに3年間を要し、その後厚生労働省に製造承認申請がなされ、その審査にさらに4年を要し、ようやく2007年に製造承認が与えられた。アルカリ加熱処理という基本技術の発見から実に13年もの期間を要したことになる。
現在、人工股関節は日本で年間10万ケース程度使われているが、その90%は米国製であり、日本製は10%程度にとどまっている。しかし、この技術は、世界各国で注目されているようで、私はこの技術により昨年米国のセラミック学会で表彰され、この8月にはブラジルで行われるラテンアメリカ全域のバイオマテリアル学会で、また9月にはフィンランドで行われるヨーロッパ全域のバイオマテリアル学会で、これらの成果を紹介するように求められている。
やがてこの技術が米国でも、南米でも、ヨーロッパでも使われるようになるかもしれない。しかし残念なことにこの技術の特許は、申請が1994年だから、有効期間終了まであと3年を残すのみである。製造承認がもう少し速やかに与えられていれば、日本製の人工関節が世界に出て行くチャンスを生かせたのに、と惜しまれる。
※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?
恥ずかしながら、私は自分の体の中にある「人工関節」がどこの国のものであるか、知らずにいます。
日本の文化に合わせた(畳の生活やしゃがむことが多いこと)短めのステムがあるなどと聞いたことはあっても、種類やそのそれぞれの特徴についてもしかり。ほとんど知識はありません。
いろいろ情報として知っておきたいなぁ、と思うことはあっても、ではどこでそのような情報が手に入るのか???
患者の立場で知っておくべき情報として公開されていないのが現状なのでしょうか・・・・ね^^;
人工股関節全置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)予防
新規経口直接トロンビン阻害剤ダビガトラン エテキシラート、人工股関節全置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)予防で、エノキサパリンと同等の有効性と安全性を示す
?主要なVTEとVTEに起因する死亡の複合エンドポイントでは有意な低下を認める?
・ 人工股関節全置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)予防で、ダビガトラン エテキシラート(以降ダビガトランと記載)220 mg 1日1回投与群は、エノキサパリン40 mg群と同等の有効性および安全性を示す1
・ ダビガトランは主要なVTEとVTEに起因する死亡の複合エンドポイントでは、エノキサパリンと比べ有意な低下を認める1
・ ダビガトランに関連した出血リスク、および、安全性プロファイルはエノキサパリンと同様1
2010年6月11日 ドイツ/インゲルハイム
第15回欧州血液学学会(EHA)でこのほど、RE-NOVATE® II 試験のデータが発表されました。ダビガトラン220 mg 1日1回投与が、人工股関節全置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)予防で、エノキサパリン40 mgと同等の有効性と安全性を示すデータでした。また、ダビガトランはエノキサパリンと比べ、主要なVTEとVTEに起因する死亡の複合エンドポイントを有意に低減しました。
RE-NOVATE® II はランダム化二重盲検非劣性試験で、2,055名の患者が登録されました。ダビガトラン220 mg 1日1回投与群について、人工股関節全置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)予防で、術後28?35日以上にわたり、エノキサパリン40 mg群と同等の有効性を得られるかどうかを評価し、両治療群の安全性プロファイルを比較しました1。
人工股関節全置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)を予防するために、既承認のエノキサパリンなどヘパリン類では、定期的な注射投与が必要です。しかし、VTEの発症数を大幅に減少させるために2長期間予防投与をする場合、患者にとって注射での投与は利便性の問題があります。ダビガトランといった経口投与が可能な抗凝固薬は、患者ケアの向上に寄与すると期待されています。
今回示された試験結果の詳細は次の通りです:1
・ ダビガトラン群は、全静脈血栓塞栓症(VTE)(静脈造影により診断または症候性のもの)、および、死亡の複合エンドポイントについて、エノキサパリン群と同等の有効性を示しました。発症率について、ダビガトラン投与群では7.7%、エノキサパリン投与群では8.8%(絶対リスク差-1.1%(95%CI、-3.8%?1.6%):p<0.0001非劣性検定)でした。
・ ダビガトラン群は、エノキサパリン群と比べ、主要なVTE(近位深部静脈血栓症および非致死性肺塞栓症)、および、VTEに起因する死亡の複合エンドポイントについて、有意に低減しました。発症率はダビガトラン投与群で2.2%、エノキサパリン投与群で 4.2% (絶対リスク差 -1.9%、相対リスク減少率 -46% (95% CI、-3.6% ? -0.2%) :p=0.03 優越性検定)でした。大出血イベント*の発症率はダビガトラン投与群で1.4%、エノキサパリン投与群で0.9%、両治療群で同等でした(p=0.40)。
*大出血の定義:以下のいずれかの出血事象; 死亡に至る、重要な臓器の出血、治験担当医の予測を超える2g/dL以上の臨床的に明らかなヘモグロビン減少、治験担当医の予測を超える臨床的に明らかな2単位(日本の4.5単位に相当)以上の輸血または全血輸血の実施、治験薬投与の中止を必要とする、再手術を必要とする
テキサス大学サウスウエスタンメディカルセンター整形外科のマイケル・フオ(Michael Huo)医学博士は次の通り述べています。「RE-NOVATE® II 試験と類似のデザインで実施されたRE-NOVATE® 試験と併せ5,000名以上の患者の複合データでの肯定的な結果により、ダビガトラン1日1回投与が、人工股関節全置換術後の静脈血栓塞栓症(VTE)予防でエノキサパリン投与と同様の同様の出血リスクと安全性プロファイルであることが確認されました。今回、RE-NOVATE® II 試験から新たに、ダビガトランが主要なVTEとVTEに起因する死亡を有意に低減させるとの新たな有力な知見が得られました。」
静脈血栓塞栓症(VTE)は、深部静脈血栓症(DVT)や肺血栓塞栓症(PE)を含みます。欧州では、毎年750,000件近くのVTEが報告されていますが、およそ300,000件が致死性であるなど3、深刻な公衆衛生問題となっています。整形外科の大手術後、抗凝固薬を用いた治療を行わない場合5名中3名にDVTが発症します4。人工股関節全置換術後では、抗凝固薬による5?11日間の予防治療を実施した場合でも患者の5名中1名がDVTを発症します4。このような状況を改善するために、新たな抗凝固薬が必要とされています。
マイケル・フオ医学博士はさらにこのように述べています。「外来で予防治療を受ける患者にとって、経口抗凝固薬のダビガトランはエノキサパリンなど注射剤よりも使用しやすい。この利点は医療費の削減にも結び付きます。英国では、予防治療期間を延長した際に、経口抗凝固薬のダビガトランは注射剤のエノキサパリンと比べて医療費を大幅に削減したとの実績もあります。
ダビガトランは臨床使用で望まれる有力な治療選択肢であると考えられます。」 ダビガトランは、急性または慢性の血栓塞栓症の予防と治療で、未だ満たされていない大きな医療ニーズに対応すると期待され注目を集める、新世代の経口抗凝固薬/直接的トロンビン阻害薬(DTIs)5です。現在、心房細動患者の脳卒中予防を含む他の数々の適応症で研究・開発が進められています。
RE-NOVATE® について:6
RE-NOVATE® II 試験に先立ち、RE-NOVATE® 試験が実施されています。この試験は欧州、南アフリカおよびオーストラリアで、人工股関節全置換術後の患者3,494名を登録した多国籍ランダム化二重盲検非劣性試験です。患者は、手術の12時間前から経口ダビガトラン150 mgまたは220 mg 1日1回経口投与する群もしくはエノキサパリン40 mg 1日1回皮下投与する群のいずれかに割り付けられました。治療期間の中央値はすべての投与群ともに33日間でした。
全静脈血栓塞栓症(VTE)、および、全死亡の複合エンドポイントについて、成績はすべての投与群において同等で、ダビガトラン150 mgまたは220 mg 1日1回投与群もしくはエノキサパリン40 mg 1日1回投与群での発症率はそれぞれ8.6%、6.0%および6.7% となりました。試験に参加した3,463 名の患者で安全性評価が実施されましたが、投与群間で大出血の発症率に有意な差は見られませんでした(それぞれ1.3%、2.0%および1.6%)。治療中および追跡期間中の肝酵素上昇および急性冠動脈イベントの発現について、投与群間で有意な差は見られませんでした。
ダビガトラン エテキシラートについて
ダビガトランは、急性または慢性の血栓塞栓症の予防と治療において、未だ満たされていない大きな医療ニーズに対応することが期待される新世代の経口抗凝固薬/直接的トロンビン阻害薬(DTIs)5として注目されています。
直接トロンビン阻害剤は、血液の凝固過程で主要な役割を担うトロンビン(遊離トロンビンならびにフィブリン結合トロンビン)の働きを特異的に阻害することで、強力な抗血栓作用を示します。さまざまな経路、さまざまな凝固因子を介して作用するビタミンK拮抗薬とは対照的に、ダビガトランは予測可能で一貫した有効性を示します。薬物相互作用の可能性は低く、食物と薬物相互作用もありません。定期的な血液凝固作用のモニタリングや投与量の調節も必要もありません。
ダビガトランは、人工股関節全置換術または人工膝関節全置換術を受けた成人患者の静脈血栓塞栓症(凝血)の一次予防を適応として、現在50ヵ国以上で承認され広く用いられています(国内未承認)。また、心房細動患者での脳卒中発症予防を適応に、開発が進められています。
ダビガトランの臨床試験プログラム
ダビガトランの有効性および安全性を評価するため、ベーリンガーインゲルハイムは以下を目的とした臨床試験プログラムを実施しています:
・人工股関節全置換術または人工膝関節全置換術を受けた患者の静脈血栓塞栓症の一次発症抑制
・急性静脈血栓塞栓症の治療
・静脈血栓塞栓症の二次発症抑制
・急性冠症候群患者での心血管イベントの二次発症抑制
・心房細動患者における脳卒中発症抑制
ベーリンガーインゲルハイムについて
ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界50ヵ国に142の関連会社を持つベーリンガーインゲルハイムグループは、世界で41,500名の従業員を有するトップ20の製薬企業のひとつです。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、人々の健康および保健医療の向上に寄与すべく、ヒト用医薬品およびアニマルヘルス(動物薬)を中心にビジネスを展開しています。2009年度は127億ユーロの売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の約5分の1相当額を研究開発に投資しました。 日本ベーリンガーインゲルハイムは同グループの一員として、日本で50年にわたる企業活動を展開してきました。グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所や、国内向けとして山形に生産拠点を擁し、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で有用な医薬品を提供しています。 ベーリンガーインゲルハイムについての詳細情報は: www.boehringer-ingelheim.com (ベーリンガーインゲルハイムグループ) www.boehringer-ingelheim.co.jp (日本ベーリンガーインゲルハイム)からご覧になれます。
References
1. Eriksson BI, et al. Dabigatran versus enoxaparin for thromboprophylaxis after primary hip arthroplasty: The RE-NOVATE II randomised trial. Presented at the Annual Congress of the European Haematology, 12th June 2010.
2. Eikelboom JW et al. Long-term LMWH to prevent VTE in high-risk orthopaedic patients: a meta-analysis. Lancet 2001; 358:9-15.
3. Cohen AT, et al. Venous thromboembolism (VTE) in Europe. Thromb Haemost 2007; 98:756?764
4. Geerts WH, et al. Prevention of venous thromboembolism. American College of Chest Physicians evidence-based clinical practice guidelines (8th Edition). Chest 2008; 133:381-453.
5. Di Nisio M, et al. Direct Thrombin Inhibitors. N Engl J Med 2005; 353:1028-40.
6. Eriksson BI, et al. Dabigatran etexilate versus enoxaparin for prevention of venous thromboembolism after total hip replacement: a randomised, double-blind, non-inferiority trial. Lancet 2007; 370(9591): 949 ? 956
人工股関節全置換術後に発生した脳卒中症例の検討
本邦では人工股関節全置換術(THA)後に発生する脳血管障害に関する報告はほとんどない.THA後に発生した脳卒中症例の頻度及び臨床的特徴を明らかにするため,1999 年から2008 年の間に施行された初回THA 1,267 例1,551 関節を対象とし後見的に調査した.周術期に脳梗塞3 例(0.19%)が発症し,2 例は2008 年の症例であった.女性2 例,男性1 例で,術前合併症として糖尿病・動脈硬化があり内頚動脈の高度狭窄が認められたもの1 例,心房細動1 例,卵円孔開存1 例であった.脳梗塞の確定診断の時期は各々術直後,術後2 日,術後5 日であった.全例運動麻痺が改善し脳梗塞発症後9 日以内にTHA後の運動療法・作業療法に復帰し,1例は術後4 週で,2 例は術後8 週で退院していた.本邦では近年欧米化した食生活を伴った超高齢社会を迎え,THA後の脳卒中予防は深部静脈血栓症予防と共にその重要性が強調されるべきである.
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 46(12) pp.793-798 2009
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
人工関節再置換術後のリハビリのあり方
人工関節再置換後の理学療法のあり方 ―特に人工股関節全置換術(THR)と人工膝関節全置換術(TKR)を中心に―
Physical Therapy of Revision Total Hip and Knee Replacement Arthroplasty”/川村, 博文/”川村, 博文 , “/鶴見, 隆正/”鶴見, 隆正 , “/辻下, 守弘/”辻下, 守弘 , “/山本, 博司/”山本, 博司 , “/谷, 俊一/”谷, 俊一 , “/川上, 照彦/”川上, 照彦 , “/横岩, 正/”横岩, 正
理学療法学理学療法学
19pp.603 – 605 , 1992-09-01 , 社団法人日本理学療法士協会
ISSN:02893770
人工股関節再置換術【話題の広場】
(話題の広場より)
人工股関節置換術については、テレビや新聞、インターネットや市民健康講座などを通してその情報を得る機会が多くなりましたが、人工関節の「再置換術」についてはまだまだ情報が少ないようです。 そこで、今回は『人工股関節の再置換術』について、大阪大学医学系研究科教授の菅野伸彦先生、同研究科助教の坂井孝司先生にお話を伺いました。
1.はじめに
外来で診察していると、患者さんから再置換術について、「歩けなくなるのでは?」とか「どんな場合に必要になるの?」とか「手術も大変で命に関わるの?」とか「何ヶ月も入院しないといけないの?」といった質問がよくあります。このように、多くの患者さんが再置換術に対して大きな不安を抱えていることと思います。
しかし、実際には再置換術をしたからといって歩けなくなったり車椅子の生活になったりということはありません。再置換術後にお遍路や屋久島のトレッキングに行かれた方もいるくらいです。
2.人工股関節の再置換術の実際
再置換術は大きく分けて2つあります。1つは、人工股関節の部品交換のみを行う方法です。これは、直接骨に接触していない部分、つまり骨頭の部分だけとかポリエチレンの部分だけを交換する手術です。もう1つは、臼蓋側のカップや大腿骨のステムなど、骨に設置された部品を入れ換える手術です。
1.部品交換のみの場合
骨に設置している臼蓋側のカップや大腿骨のステムはそのままにして、ライナー(インサート)や骨頭、ネック(ステムの首の部分)などを外して交換します。手術時間も短く出血も少なく、入院期間も1?2週間程度ですみます。初回の手術で入院期間が平均2?3週間ですから、それよりも早く退院できることになります。
2.臼蓋側のカップや大腿骨側のステムを交換する場合
人工関節と骨の状態によって、臼蓋側だけを手術する場合と大腿骨側だけを手術する場合、あるいは臼蓋側と大腿骨の両方を手術する場合があります。設置されている人工関節を取り除いて新たに人工関節を設置するために、部品交換のみの場合よりも手術時間も長くなり、患者さんへの負担は大きくなりますが、骨の欠損がそれほど大きくなければ、手術は最初の手術と同じです。ただし、骨の欠損が大きい場合や骨が薄くなっている場合には、骨の移植や補強が必要になります。大腿骨側では、長いステムに入れ替えたり、骨盤側では金属プレートなどで補強したりする場合もあります。
骨を移植するなど複雑な手術の場合は、荷重(手術した足に体重かけること)できるようになるまで、術後3?4週間で部分荷重(杖などを使用して全体重をかけないようにすること)、術後6?8週間で全荷重(全体重をかけること)となり、入院期間も8?10週間くらいかかります。
しかし、最近ではこのような複雑な手術は我々の施設では減ってきています。なぜなら、昔と比較して、再置換しやすいデザインのものを使用するようになったことと、再置換の場合は患者さんの骨がいたまない(溶けてなくならない)うちに早め早めに手術を行うからです。
3.どのような場合に再置換術を行うのか
そもそも初回の手術で入れた人工関節はどのくらい長持ちするのでしょうか。大阪大学では、1997年から1990年の手術では20年後で約90%の方が再置換せずに生活されているというデータがあります。また、最近では人工関節自体も改良されて、当時のものより長持ちするようになってきています。
再置換が必要になるのは、人工関節がゆるんでしまったり摩り減ったり(摩耗(まもう))、摩耗によって患者さん自身の骨が溶けてしまったり(骨溶解(こつようかい))、人工関節が壊れたりした場合や、手術部位が細菌感染を起こしたり、脱臼を繰り返し繰りたり、転倒などによって人工関節の周辺の骨が折れたりした場合ですが、何よりも股関節に強い痛みが出てきた場合は再置換の適応となります。
ただし、痛みがなくても検査で異常を認めた場合には、早めに再置換を勧めることがあります。先ほども説明しましたが、患者さんの骨がいたむ前に、複雑な手術になる前に、一部の部品交換で済むのであればそれに越したことはないと思います。
人工関節の寿命
1. ゆるみ
2. 摩耗、骨溶解
3. 人工関節の破損
4. 感染
5. 脱臼
6. 骨折
人工股関節の再置換術では、初回の手術の時よりも年齢が高くなっているわけですが、全身の状態が安定していれば高齢でも手術を行うことができます。
また、回数の制限はありません。何度でも手術をすることはできます。ただし、回数を重ねれば、筋肉のダメージはそれなりに出てくることもありますし、動作の制限が必要になる場合もあります。
4.感染予防と骨折予防
人工関節を長持ちさせるために、患者さん自身でできることがあります。それは感染予防と骨折予防です。
感染を起こす確率は、一般的に0.1?0.3%といわれています。予防のためには手術した部分に傷を作らないようにすることが大切です。ちなみに、むし歯になっても心配しすぎなくて大丈夫です。むし歯の原因となる菌は、手術部位に炎症を起こす菌とは種類が違うので普通の免疫力(抵抗力)のあるひとは、人工関節部分まで移動してくることはありません。また、ウィルスも問題ありませんのでインフルエンザにかかっても大丈夫です。水虫も全身にひろがることは少ないのですが、歯も(口)、手足も清潔にするに越したことはありません。糖尿病などで、抵抗力が弱くなれば感染しやすくなるので、運動をすることが重要です。
骨折の予防としては、第一に転ばないこと、そして、骨粗しょう症にならないようにすることです。適度な運動による転倒しにくい筋力と日光浴を行い、食事に気をつけましょう。
5.最後に
骨の欠損が大きくて、骨を移植しなければならないような特殊な場合を除いては、筋力があって骨がしっかりしていれば再置換も初回の手術もなんら変わりありません。ですので、必要以上に再置換術を恐れることはありません。なお、再置換術後の人工関節の寿命は、大阪大学では10?15年で約80%の方が問題なく過ごされています。
大切なことは、定期的に股関節の専門医を受診して、股関節の状態をチェックすることです。そうすることで、骨がいたむ前に、より負担の少ない手術で再置換を行うことが可能になるのです。
協力:
大阪大学医学系研究科運動器工学治療学教授 菅野 伸彦 先生
大阪大学医学系研究科器官制御外科学助教 坂井 孝司 先生
大阪大学医学部整形外科学教室(股関節クリニック)
※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?※?
初回の人工関節置換にも言えることですが、人工関節の再置換も、人任せ(医師任せ)ではなく、筋力維持、骨の健康維持など普段から自分自身で努力して行くことは非常に大切なことなのだと再認識です。
むやみに入れ替えを怖がるのではなく、よりベストな状態で再置換が受けられるような体作りをがんばっていかなければいけませんね?
日本人向け人工関節(zakzak)
千葉県済生会習志野病院 2010.01.22zakzakより
. 高齢化社会に伴い股関節やひざ関節などの関節痛に悩む人が増えている。そんな関節障害に対して、独自の日本人向け人工関節を考案し、国内外に名をはせているのが千葉県済生会習志野病院千葉関節外科センターだ。
「日本人は、股関節が浅く大たい骨がねじれているなど、世界の中でも珍しい骨格の特徴があります。そのため、従来のように諸外国で作られた人工関節を用いると、合わないことが多い。日本人に合った治療を行うために、人工関節の開発が不可欠だったのです」とは、同センター長を兼務する原田義忠副院長。
ハーバード大学に留学中、人工関節の研究をしながら日本との違いを痛感した。そこで、帰国後、千葉大医学部准教授時代の1997年から、東京医科歯科大学や大阪大学、ヒューストン大の工学博士とのプロジェクトを発足し、日本人向けの人工関節を作り上げたという。すでに厚労省の承認も取り、臨床現場で幅広く活用されている。そして、今も次世代の人工関節をプロジェクトで考案中だ。
「畳や正座といった日本人の生活様式で、人工関節を違和感なく使えるようにしています。日本人の医師と海外の工学博士がタッグを組んだのは初めてのこと。患者さんのQOL(生活の質)の向上をさらに上げることができるでしょう」
こう話す原田副院長は、人工関節だけにこだわっているわけではない。関節鏡による治療や骨切り術による関節温存術も積極的に行い、その治療にも定評がある。
「患者さんへのオーダーメード医療を心がけています。関節の故障は、高齢者の方ばかりではありません。若い方でも骨格の歪みやスポーツなどの影響、リウマチ疾患で関節を痛めます。患者さんとは長いおつき合いになりますが、私一人で患者さんを一生涯診ることはできません。そのため後輩の育成にも力を入れています」(原田副院長)
股関節の治療は、一つ間違えると患者がうまく歩けなくなるなど、大きな支障を及ぼす。それを避けるには、外科医の手腕が問われる。原田副院長は、積極的に後輩の指導をすることで技術レベルの向上を図っているのだ。また、原田副院長の専門は股関節だが、千葉関節外科センターには、肩・上肢、下肢、スポーツグループのそれぞれ専門医がいるという。
「次世代の医師へタスキを渡すために、もっと人材育成を強化したいと思っています。そして、世界トップレベルの技術を維持したい」(原田副院長)
※?※?※?
日本人向けの人工関節と、従来のもの、入れられたほうはどういう違いを感じるんでしょうか?
両方入れたことのある人にしかわからないコトですよね
