低弾性と高衝撃吸収性備えた人工股関節を開発

入れ替え必須の若年人工関節患者には、うれしいニュースですね!
日刊工業新聞 平成25年1月10日 より
大阪大学大学院工学研究科の中野貴由教授と同大学院医学系研究科の吉川秀樹教授は、ナカシマメディカル(岡山市東区、中島義雄社長、086・279・6278)と共同で、低弾性と高衝撃吸収性を兼ね備えた人工股関節を開発した。電子ビーム積層造形法(用語参照)を用い、実際の生体骨に近い機能を実現した。従来の人工関節で課題となっている骨と金属の弾性率差に起因する骨の劣化を防ぐ。高齢化社会の到来で患者数が増える変形性関節症や骨粗しょう症などの治療に役立つと期待される。
 中野教授らは不要な金属粉末を取り除き、造形体骨格だけを使う積層造形法の発想を転換した。本来除去すべき金属粉末を造形体の中に閉じ込め、熱処理を施した。これにより粉末間のネック形成で、衝撃吸収性が備わる。同時に生体骨が持つ一軸異方性を発揮できる設計で骨類似化を図ったところ、弾性率の上昇を抑制できたという。

生涯型人工股関節が医療現場へ

東京大学のページより
従来型の人工関節が磨耗し入れ替えなければならないことの原理や、生涯型人工関節について、学ぶことが出来ます。
人体に人工物が入ることのデメリットですね
現段階ではやむを得ず受け入れるより他はありません
例えばですが、iPS細胞の研究が進むと自骨と代謝できるようなインプラントが作られるようになるのでしょうか・・・
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2011/08/03
従来型人工股関節の限界
骨折や変形性関節症などで機能を失ってしまった関節の治療には人工関節への入れ換えが有効です。手術件数は、国内で年間17万件、世界では430万件を超え、年々増加しています。中でも人工股関節は実用化から約50年にわたり、多くの人を痛みや歩行障害から救ってきました。
人工股関節の構造
しかし、人工股関節には深刻な問題があります。使用しているうちに人工股関節のまわりの骨が消失してしまうことがあるのです。そのような場合、新しいものに入れ換える再置換術が必要です。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
人工股関節の関節面は、大腿骨側に固定される球状の骨頭と、骨盤側に固定されるポリエチレンライナーの組み合わせでできています。
しばらく使用すると、ライナーと骨頭の接触面からポリエチレンの摩耗粉が生じます。すると、生体の免疫システムを担うマクロファージという細胞が、この摩耗粉を異物と認識して取りこみます。その際に、破骨細胞という細胞を活性化して周囲の骨を消失させてしまうことがあるのです。
硬いポリエチレンの開発や代替材料など、ライナーの基材に関する研究が世界中で行われましたが、決定的な解決には至っていませんでした。
医工連携のきっかけは新聞記事
骨が消失した部分に再び人工股関節を入れる再置換術は、非常に難度が高い手術です。また、回を追うごとに術後のリハビリや入院は長期化し、経済的負担は言うまでもなく、患者の肉体的・精神的負担も増大するばかりです。このため、少しでも長持ちする人工股関節の開発が求められていました。
細胞膜を模倣した新しいバイオマテリアル「MPCポリマー」
1999年、医学系研究科の茂呂徹特任准教授は、1人の患者から新聞記事を見せられました。同じ東京大学の工学系研究科石原一彦教授による「2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)ポリマー」という材料の研究成果に関する記事です。見出しには「人工関節にも応用」とありました。
とにかく話を聞きに行こうと、医学系研究科の高取吉雄特任教授と茂呂特任准教授、医学部附属病院整形外科脊椎外科の川口浩准教授は、すぐに石原教授を訪ねました。
細胞膜に近い「MPCポリマー」
石原教授は、生体内で異物と認識されない生体親和性の高い材料、バイオマテリアルの研究者です。体に埋め込む医用材料の場合、血液凝固や炎症反応などの生体反応を生じるものは使うことができません。石原教授が注目したのは細胞膜でした。
細胞膜は脂質の二重膜でできていて、その表面には親水性の基であるホスホリルコリン(PC)基が集まっています。
石原教授が大量合成法を開発したMPCポリマーもPC基を持つ材料です。MPCポリマーで表面処理したプラスチック板は、濡らすと表面に水を含み、ぬめりを感じるほど滑らか。まるでドジョウを触っているようです。
細胞膜に非常に近い組成を持つMPCポリマーで表面処理すると、材料は生体反応を引き起こしません。すでに人工心臓など数々の医療機器がこのポリマーの恩恵に浴しています。
軟骨の構造を真似する
生体の関節軟骨と新しい人工股関節の表面
15年分に相当する歩行シミュレーションによる摩耗の比較
微粒子をマウス骨表面に移植したときの破骨細胞の形成と骨吸収の様子(©2004 Nature Material 許可を得て複製 ) MPCポリマー処理された微粒子では、破骨細胞が形成・活性化がされず、骨吸収(骨の消失)が起こらない
関節を覆う軟骨の表面には、リン脂質が集まって表面を滑らかにしています。そこで、MPCポリマーを人工股関節の関節面に用い、軟骨の表面構造を構築するという発想が生まれました。
「表面処理というアイデア。これが画期的でした」と高取特任教授は言います。
医療機器メーカーも加わり、工学・医学・企業の壁を越えた連携による新しい人工股関節の開発が始まりました。
軟骨では、リン脂質を持つポリマーがひげのように表面に結合しています。そこで研究グループは、この構造を再現することを目指し、光グラフト重合という手法でMPCポリマーのひげをポリエチレンに生やすことにしました。
生体を模倣した新しい人工股関節は、予想以上の低摩擦を実現しています。親水性のPC基を持つMPCポリマーのひげが水を引き付け、ポリエチレンと骨頭の間に水の層が作られるのです。そのためライナーの摩擦係数が驚異的に下がりました。例えば15年分に相当する1500万歩を超えた歩行シミュレーションを行っても、ライナーはほとんど摩耗しません。2011年現在、歩行シミュレーションは70年に相当する7000万歩を超えましたが、大きな摩耗は起こっていません。
またMPCポリマーは生体親和性が高いため、仮に摩耗しても、微粒子が破骨細胞を活性化することがありません。長寿命が期待できる人工股関節の完成です。
実験室の技術が患者さんに届くまで
“患者さん側から『これを使ってください』と指定していただける製品になるのではないかと期待しています”
医学系研究科・茂呂特任准教授
医療機器開発のゴールは実際の治療に役立つことです。製品化までにはシミュレーター試験や治験など、数多くのハードルがありました。
「大学が作るのは、例えるならお金も時間もかけてよいF1マシーン。会社はその技術を使って大衆車を作らなくてはいけないのです」と石原教授。
実験室の技術をいかに製品化するか。医療機器メーカーである日本メディカルマテリアル社の京本政之さんは、医学系研究科と工学系研究科の両方に机を置いて開発に取り組みました。「先生は大衆車とおっしゃいましたが、そのなかでも高級スポーツ車くらいのものを作らないといけないのです」と京本さんは言います。体内に埋め込む人工股関節は医療機器の中でもハイスペック。医学的要求と工学的技術を結びつけ、高い信頼性・生産性・機能性を同時に満たすことを目指した高度な開発が行われました。
「実験結果が出るとすぐに議論できる。工学部と医学部が同じキャンパスにいる近さが鍵でした」と石原教授は言います。
分野の垣根を越えた共同研究の成果が、ついに医療の現場に届きます。才能と情熱が出会い、新しいアイデアや成果が生まれる場所。それが東京大学です。
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研究者情報
石原 一彦 教授 (大学院工学系研究科・工学部 マテリアル工学専攻 バイオエンジニアリング専攻)
京本 政之 研究員(大学院工学系研究科・工学部 マテリアル工学専攻/ 大学院医学系研究科・医学部 関節機能再建学講座 / 日本メディカルマテリアル株式会社)
高取 吉雄 特任教授 (大学院医学系研究科・医学部 関節機能再建学講座)
茂呂 徹 特任准教授 (大学院医学系研究科・医学部 関節機能再建学講座)

【人工関節置換術後2週間は心筋梗塞リスクが25?31倍】

日経メディカルオンラインより
人工関節置換術後2週間は心筋梗塞リスクが25?31倍
オランダの後ろ向きコホート研究の結果、60歳未満ではリスク上昇なし
人工股関節全置換術(THR)を受けた患者は、術後2週間の急性心筋梗塞(AMI)発生リスクが手術を受けなかった患者の約25倍、人工膝関節全置換術(TKR)においても約31倍になることが、オランダUtrecht大学のArief Lalmohamed氏らが行った大規模コホート研究で明らかになった。論文は、Arch Intern Med誌電子版に2012年7月23日に掲載された。

人工股関節、表面置換で低死亡率

文献:McMinn DJ et al.Mortality and implant revision rates of hip arthroplasty in patients with osteoarthritis: registry based cohort study.BMJ 2012;344:e3319.
 変形性関節症の患者約27万5000人の記録を基に、人工股関節置換術の死亡率と再置換率をコホート研究で調査。セメント固定法はセメントレス固定法に比べ死亡率が高く、再置換率は低かった。男性ではセメント、セメントレス法ともに表面置換型人工関節術(Birmingham hip resurfacing)に比べ死亡率が高かった。
m3.comより
※表面置換型人工関節術とは?
人工関節の広場にわかりやすい解説が載っているようです。

ブログ非表示の件【その後】

ブログ記事復旧後、WEB上を捜し歩いて一部を除き画像についてはほぼ元通りに復旧することが出来ました。
しかしながら、「入院に関すること」のなかにあった、入院費用や個人的クリティカルパスについては現段階ではまだデータを探し当てることが出来ていません。
「クリックしたのに表示しない!」というストレス状態が今しばらく続きますことをお許しください。

ブログ非表示のお詫び

不注意によりサーバーからこのサイトのファイルを削除してしまい、一時サイトが表示されなくなっていました。
バックアップデータ等によりなんとかテキストデータは復旧できましたが、開設当初から記事とともにアップしてきた画像が、今現在全く表示できずにいます(データがないため)
これまでアップロードしてきた画像がどれだけ手元に残っているか、まだ確認できていませんが、しばらくは画像非表示の不細工なブログのままになりますことをお許しください。
平成23年10月1日 THR 管理人

【参考】下肢荷重検査における全人工股関節置換術前後の検討

下肢荷重検査における全人工股関節置換術前後の検討
?対側股関節の病期の違いについて?
  正田 直之, 野形 亮介, 花木 このみ, 溝口 佳奈, 大森 弘則
   大森整形外科リウマチ科リハビリテーション部
【目的】
変形性股関節症に対して全人工股関節置換術(以下THA)
を施行することによって,術側下肢の荷重量や重心動揺性が経
時的にどのように変化するのか,また対側の股関節の状態によ
って,どのような違いがあるのかを下肢荷重検査を用いて検討
した.
【方法】
対象は,平成21 年8 月から平成23 年6 月までに当院で
THA を施行した末期の変形性股関節症患者で,下肢荷重検査
を術前より経時的に行った56 例(男性7 例,女性49 例,平均
年齢61.7±11.0 歳)である.なお,対側股関節のX 線学的病
期分類によって,対側が正常および前期・初期股関節症である
群をA群(26 例),進行期・末期股関節症である群をB 群(13
例),また対側に既にTHA が施行されている群をC 群(17
例)の3 群に分けた.検査にはアニマ社製G-620 の下肢荷重計
を用いた.患者に左右のプレート上に軽度開脚となるように両
足で立たせ,静止立位30 秒間で計測した.各々の症例に対し
て,術前・術後1 カ月および術後3 カ月の時期において,手術
側下肢の荷重率(術側への荷重配分:%),総軌跡長(重心点の
移動した全長:cm)および外周面積(重心動揺軌跡の最外郭に
よって囲まれる内側の面積:cm2)を測定し経時的に比較した.
なお,B 群では術後3 ヶ月時にはすでに対側のTHA が行われ
ている症例が多く,検討すべき術後3 ヶ月の症例数は得られな
かった.
【結果】
全症例の手術側の荷重率の平均値は,術前:44.6±7.3%,術
後1 ヶ月:49.1±6.2%,術後3 ヶ月:49.7±4.6%であり,術
前と術後1 ヶ月,術前と術後3 ヶ月の間に有意差を認めた(p
<0.01).総軌跡長の平均値では,術前:41.4±17.2cm,術後
1 ヶ月:45.2±19.3 cm,術後3 ヶ月:38.8±11.8 cmであり,
また外周面積の平均値は術前:1.8±1.2 cm2,術後1 カ月:1.9
±1.1 cm2,術後3 ヶ月:1.7±1.1 cm2 であった.術後3 ヶ月
以降に小さくなる傾向であったが,計測時期による有意差は認
めなかった.
対側の股関節症の病期別では,A 群の荷重率の平均値は,術
前:40.8±6.5%,術後1 ヶ月:46.34±6.3%,術後3 ヶ月:
49.5±4.9%であり,術前と術後1 ヶ月,術前と術後3 ヶ月との
間に有意差を認めた(p<0.01).A 群の総軌跡長の平均値は,
術前:42.5±16.2 cm,術後1 ヶ月:43.0±19.6 cm,術後3 ヶ
月:38.0±10.6 cm であり,A 群の外周面積の平均値は,術
前:1.9±1.1%,術後1 ヶ月:1.8±1.0%,術後3 ヶ月:1.6±
0.9%であった.B 群の荷重率の平均値は,術前:48.5±5.9%,
術後1 ヶ月:53.5±5.5%であり,術前と術後1 ヶ月との間に有
意差を認めた(p<0.05).B 群の総軌跡長の平均値は,術前:
41.7±23.3 cm,術後1 ヶ月:47.5±19.9 cmであり,B群の外
周面積の平均値は,術前:2.0±1.7cm2,術後1 ヶ月:2.0±
1.1 cm2 であった.C 群の荷重率の平均値は,術前:47.4±
6.9%,術後1 ヶ月:48.9±3.8%,術後3 ヶ月:50.0±4.7%で
あり,C 群の総軌跡長の平均値は,術前:39.8±14.0 cm,術
後1 ヶ月:46.7±19.8 cm,術後3 ヶ月:38.0±12.3 cmであり,
C 群の外周面積の平均値は,術前:1.6±0.8 cm2,術後1 カ
月:2.0±1.3 cm2,術後3 ヶ月:1.4±0.8 cm2 であった.
【考察】
全体として,手術側の荷重率は,術後有意に改善し,術後3
ヶ月以降で対側とほぼ均等(50%前後)になることがわかった.
総軌跡長や外周面積では,術後1 ヶ月で増加するが術後3 ヶ月
以降では術前よりも減少しており,有意差はないものの,術後
3 ヵ月以降で重心動揺性も改善する傾向が認められた.
対側股関節の病期分類では,A 群やC 群では前述の全体像と
ほぼ同じ傾向を示したが,対側が進行期?末期のB 群では,術
後1 ヶ月で対側よりも手術側の方により多くの荷重がかかって
おり,重心動揺性の改善もほとんど認めなかった.これは恐ら
く対側の股関節痛が術後も持続しているため,疼痛が軽減した
術側下肢に荷重がかかりやすくなっているためと考えられた.
また,「重心は脚長差の長脚側に移る傾向がみられた」との寺本
らの報告もあり,B 群では術側下肢が長くなる傾向が強いため,
脚延長に伴う脚長差が荷重率を増加させていたのかもしれない
と思われた.
【まとめ】
変形性股関節症に対しTHA を施行することによって,左右
均等な荷重率を獲得できることがわかったが,対側股関節が進
行期?末期の症例の場合やや傾向が異なっていた.また総軌跡
長,外周面積においても有意な変化が認めなかったことより,
今後も症例数を重ねてより長期に検討する必要があると思われ
た.

人工股関節全置換術~入院日数と再入院率

〔シカゴ〕アイオワ大学カーバー医学部(アイオワ州アイオワシティー)のPeter Cram准教授らは,1991?2008年に人工股関節全置換術またはその後の再置換術を受けたメディケア受給者のデータを分析したところ,この間の患者の入院日数は減少したが,再入院率と高度看護施設への転院率は増加したことが分かったとJAMA(2011; 305: 1560-1567)に発表した。
MT Pro

【論文】人工股関節全置換術後の身体機能の回復

人工股関節全置換術後の身体機能の回復 文献の系統的総括とメタ分析
抄録No.1109-1
執筆担当:
甲南女子大学
看護リハビリテーション学部
理学療法学科
掲載:2011年9月1日
【抄録】
背景
人工股関節全置換術(THA)を受けた最近の患者は、以前にTHAを受けた患者より若くより活動的な傾向がある。よって、術後の高い身体機能獲得が期待される。それゆえ患者はTHA後の身体機能の回復程度について、より説明を求めるようになってきた。
目的
この研究の目的はTHA後の身体機能の回復についての文献を調査し、身体機能の3つの観点からみた回復の程度を調べることにある。3つの観点は、自覚的身体機能、活動を行うための機能的容量、家庭で行っている日常活動量である。
データ源
文献はMEDLINEとEMBASEデータベースに最初から2009年1月までに含まれているものとした。その参考文献も対象とした。
論文選択基準
前後比較法を用いた前向き研究で、変形性関節症で初めてTHAを受けた患者を対象としているものとした。
文献の抽出と分析
二人の評者が個々に選択基準のチェックを行い、「偏りの危険性」の評価を実施し文献を抽出した。文献は重量効果モデル(random-effects model)を使用してメタ分析を行った。
結果
収集した1,402件の論文中、31件の研究論文が選択基準を満たした。
それらを調査したところ、自覚的身体機能においては、対照群(健常人)と比較して患者は術前の50%以下のところから術後6から8ヶ月で約80%まで回復していた。活動を行うための機能的容量では、患者は術前の70%から術後6から8ヶ月で80%まで回復していた。日常活動量では患者は、術前の80%から術後6ヶ月で84%まで回復していた。
考察
この研究は、私達の知る限り、THA術後の機能回復を3つの観点から初めて調査したものである。
調査した文献のほとんどは、術後8ヶ月の身体機能回復を評価していた。ただ、それ以上の期間を追跡調査したものは、ほとんど無かった。
また、この私達の系統的総括を他の総括と比較するのは困難である。それは、THA術後の身体機能回復を違った観点から調査した系統的総括が見当たらないからである。
限界
術後8ヶ月以上身体機能の回復を調査している研究は少なかった。
結論
術前の状況と比較して、身体機能の3つの観点において、術後の回復がみられた。術後6から8ヶ月で、身体機能は対照群のおおむね80%まで回復していた。
【解説】
人工股関節全置換術(THA)は保存的療法に比べ医療費は係るが、疼痛の除去ないし軽減および身体機能の改善[1.]をもたらす。
THAの術後評価は伝統的に死亡率、手術法、手術技術、生存率、外科医による評価で行われてきた[2.3.]。最近では、術後の健康状況について患者からの報告による評価が増えている。それは、疼痛の軽減度合い、関節機能、QOL、患者満足度などである[4.-6.]。
そして、術後身体機能改善度合の分析は重要で、改善度が低い場合はQOLの低下、能力障害、うつ状態、医療費の増加を引き起こす[7.]。
また、最近のTHAを受ける患者は以前より若い傾向になってきており、術後の高い身体機能回復を求めている[8.]。
この研究では、術後の身体機能回復度合を健常人と比較し調査している。それによりTHAを受ける最近の患者に対して、術後の身体機能の回復見込みを提示できるとしている。
【文献】
1.Rasanen P, Paavolainen P, Sintonen H, et al. Effectiveness of hip or knee replacement surgery in terms of quality-adjusted life years and costs. Acta Orthop. 2007;78:108-115.
2.Ritter MA, Albohm MJ, Keating EM, et al. Life expectancy after total hip arthroplasty. J Arthroplasty. 1998;13:874-875.
3.Berry DJ, Harmsen WS, Cabanela ME, Morrey BF. Twenty-five year survivorship of two thousand consecutive primary Charnley total hip replacements : factors affecting survivorship of acetabular and femoral components. J Bone Joint Surgery Am. 2002; 84:171-177.
4.Jones CA, Beaupre LA, Johnston DW, Suarez-Almazor ME. Total joint arthroplasties: current concepts of patient outcomes after surgery. Rheum Dis Clin North Am. 2007; 33: 71-86.
5.Montin L, Leino-Kilpi H, Suominen T, Lepisto J. A systematic review of empirical studies between 1966 and 2005 of patient outcomes of total hip arthroplasty and related factors. J Clin Nurs. 2008;17:40-45.
6.Ethgen O, Bruyere O, Richy F, et al. Health-related quality of life in total hip and total knee arthroplasty: qualitative and systematic review of the literature. J Bone Joint Surg Am. 2004;86:963-974.
7.Tomey KM, Sowers MR. Assessment of physical functioning: a conceptual model encompassing environmental factors and individual compensation strategies. Phys Ther. 2009;89:705-714.
8.Mancuso CA, Jout J, salvati EA, Sculco TP. Fulfillment of patients’ expectations for total hip arthroplasty. J Bone Joint Surg Am. 2009;91:2073-2078.