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【トピックス】術中・直後の下肢運動でTHA後のVTEが激減

人工股関節手術を受ける側ではなく、術者に手間はかかりますが、効果があるのであればぜひともお願いしたいものですね。

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実地臨床における深刻な課題となっている人工股関節置換術(THA)後の静脈血栓塞栓症(VTE)の発生予防に,手術中・直後の徒手的下腿マッサージと足関節他動運動の実践が著明な効果を示す成績が報告された。済生会横浜市東部病院運動器センター整形外科副部長の船山敦氏が,第40回日本外科系連合学会学術集会(6月18?19日,会長=日本医科大学消化器外科教授・内田英二氏)のワークショップ「整形外科領域における静脈血栓塞栓症の診断と治療」で明らかにしたもので,同施設では同手法の導入により,THA後VTEを1.0%未満に減少させることに成功している。

簡便で医療費もかからず

 同施設では2005年以来,THA全施行例に対し手術翌日に造影CTを行い,VTEの早期診断に努めている。また,VTE予防対策としては,2006年までの179例(前期群)については術後の弾性ストッキングと間欠的空気圧迫法(IPC法)を使用し,2007?10年の506例(中期群)では術中から患肢は弾性包帯着用,健側をIPC法とし,最小切開手技によるTHAを行うようにしたことで,VTE陽性率は前期の36.9%から中期には15.6%へと半減を実現した。

 手技の改善による手術時間の短縮(前期平均140分→中期平均104分)の他,弾性ストッキングやIPC法による手術管理が血流うっ滞や血管内皮損傷を防ぎ,成績向上に寄与したと考えられた。

 さらに同施設では "VTE陽性率ゼロ" を目指して,2011年から新たなVTE予防対策を導入した。手術中に30分間隔で50回,手術直後には「6秒施行/4秒休息」を5セットの徒手的下腿マッサージ(intermittent calf massage;ICaM法)と足関節他動運動(intermittent passive ankle motion;IPAM法)を行う方法だという

その結果,ICaM法・IPAM法導入から2014年8月までの307例(後期群)のVTE陽性率は3例(0.98%)と,前・中期の成績に比べて劇的な改善が認められた。手術中・直後の下腿マッサージや足関節運動を行うことで,?術中の静脈血流量が増え?うっ滞減少・血管内皮損傷を防ぎ?下腿静脈・ヒラメ筋内静脈の血栓形成を抑制する--と考えられるとした。